Addictive Bitterness
NAME CHANGE
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「ええニオイするなぁ」
土屋くんがキッチンに入ってきて、私の隣に立った。これもまた初めての行為だった。
「もっとドバーッとお湯入れたらアカンの?」
『チビチビ入れるのがポイントやねん。この手間が美味しさへの近道やな』
「ふぅん…」
土屋くんはポタポタと落ちてくるコーヒーをジッと見つめていた。
「なぁ、名前ちゃん」
『んー?』
「次お湯入れるまでどんくらい時間あんの?」
『えっ…どんくらいやろ…15秒くらい?』
「その間、暇やない?」
『そうでも無いで。見てんの楽しいし』
「……」
土屋くんは急に無言になった。ぽつぽつとコーヒーの滴が落ちる音が響く。その何とも言えない空気が心地良くて、もういっそこのまま飲み込まれてしまいたいと思うくらいだった。
追加のお湯を注ぎ、ケトルを置いた途端、土屋くんの大きな手が私の手を掴んだ。そして引き寄せられ、触れるだけのキスをした。唇が離れ、土屋くんの優しい眼差しが降り注ぐ。
「あ、ホラ。お湯入れな」
『えっ…あ、うん』
再び少量のお湯を入れ、ケトルを置くとまたキスをされた。今度はさっきより少し深い。
「次のお湯待つ間にチュウしとったら、時間を有効に使えてええな」
それからお湯を足してはキスをし、回数が増える度にどんどん深くなっていった。そして、もっとして欲しくなっていった。
『ん…ハァ…もう終わり…?』
「長くしたいんやったら、お湯いっぱい入れたらええんちゃうの?」
『…コーヒー美味しいの飲みたいねんもん』
「こだわり屋さんやなぁ」
口元は笑っているが、目は笑っていない。今日は色々いつもと違うことが多すぎる。
もしかして…
その時、私は本能的に土屋くんに抱きついていた。何故そうしたのか、自分でもよく分からなかった。
『土屋くん…もしかして、今日で会うの最後にしようとしとる…?』
そう言った途端、土屋くんは私を離し、一瞬驚いたような顔をした。
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