Addictive Bitterness
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あれから数ヶ月が経ち、私と土屋くんは穏やかな日々を過ごしていた。
と言っても私たちは、別に恋人関係ではない。
ただ何となく休日は一緒に過ごし、行きたい所に行き、食べたい物を食べ、抱き締めて欲しい時は抱き締め、キスしたい時はせがみ、セックスしたい時は求め合う、そういう風に過ごしている。
もうそれは恋人と言って良いのでは…?
そう思うかもしれないが、私は今の関係が何となく心地良かった。何かに縛られることも無く、欲することを満たし合う関係は〝生きている〟と実感できる気がするから。
──♪
インターホンが鳴り、モニターにはニコニコと微笑みながらカメラに手を振る土屋くんが映っている。
ドアを開けると、ズイッと小さな袋を私の前に差し出した。
「お土産♪」
『え、これって駅ビルに出来たチョコレート屋さんのやんな?買って来たん?』
「キラキラしとって可愛らしいやろ。名前ちゃん喜ぶかなぁと思って」
いつもは何となく連絡を取り、自分たちがそれぞれしたいことをする、という風にしてきた。なのに今日の土屋くんは、お洒落なお土産を買ってきた。しかも私の為に…。妙な違和感に私は戸惑った。
「なぁ、コーヒー飲みたい。チョコ食べるから苦くしてな」
『そうやな。淹れるから座って待っとって』
私はキッチンに行き、ケトルの電源を入れた。コーヒーが好きで、色々なお店の豆を買っては試している。土屋くんもコーヒーが好きらしく、私が煎れるコーヒーが美味しいと褒めてくれた。
今日は最近ハマっている小さなカフェの〝深煎りブレンド〟にしよう。フィルターを折り込んで、豆をスプーンで入れる。この時点でコーヒー豆の良い香りが堪らない。
カチッとケトルのスイッチが動き、沸いたお湯をマグカップに入れて温めておく。その間にケトルに少量の水を入れ、90℃まで冷やす。そしてコーヒー豆の上から注ぎ、ドリップしていくのだ。
抽出されたコーヒーがポタポタと滴になって落ちてくる。コーヒーの海を泳ぐその滴がポコポコと揺れて和む。ずっと見ていても良いくらい癒される、至福の時間だ。
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