つま先トーク
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夕飯の時間
食卓の真ん中には、お母さん特製鶏のつくねが大皿に盛られている。すき焼は既に鍋で煮たものが器に盛られ、南の席の前にだけ置かれていた。
「何でお父ちゃんだけ1コ多いん?」
『んー、それなぁ花屋のおばちゃんに貰てんけど、子どもは食べられへんやつやねん。お腹ピーピーになるで』
「お母さんは食べへんの?」
『お母さんもピーピーになんねん』
「ふぅん。じゃあ子どもやん」
「ホンマや!」
長男と次男は楽しそうに話しながら食卓に着く。そこに南と長女も加わり、揃ってから手を合わせる。
「『「「いただきます」」』」
「どーぞ!」
最後に、長女の合図があるのが最近のお決まりだった。
「おいしい!」
「お母さんのつくね、好き」
『それな、お肉に付いてたお出汁少し貰って味付けしてん。皆もお父ちゃんのと同じ味やな』
「おなじ!」
子どもたちは思い思いにつくねを頬張り、名前は嬉しそうにその様子を見ている。
『烈、すき焼どう?』
「うん…まぁ、美味いで」
何だかぼんやりた反応だったため、名前は意外だった。
『味、濃かった?』
「いや、美味いねんけど…」
『けど?』
「俺も、お前が作ったやつ食いたい」
南はつくねを指さした。名前はお皿に何個か取り、南に差し出す。
「…ん、美味い。こっちの方がええわ。高い肉は外で食う方がええな。家ではお前の飯、食いたい」
モグモグとつくねを頬張る南を見て、名前の心がじわーっと温かくなっていった。
手間暇かけて作った甲斐があった、と思った。そして自分の料理が〝家族の味〟になっていることが嬉しかった。しみじみ感動していると、味噌汁を飲み干した次男がトンッと器を置き、口を開く。
「お父ちゃん、好きやもんな!」
この一言に南はドキリとした。息子にそんなことを言われるとは…何と返せば良いものか。戸惑っていると、長男、長女が騒ぎ出す。
「俺も好き〜、つくね」
「つくね!おかわり!」
あ、そっちか…と思い、チラリと名前の方に目線をやると、少し頬を赤らめ、『はいはい』とつくねを取り分けていた。自分と同じこと考えていたのだろう。
南はフッと微笑み、テーブルの下の脚をのばし、名前の足の甲をツンツンと突く。名前は小さく肩を上げ、南の顔を見る。
「そうやで。父ちゃん、めっちゃ好きやねん」
南の意図することが名前には伝わったようで、カーッと耳まで赤くなっていた。
「お母さんは?好き?」
無邪気な次男がキラキラした眼差しで名前を見ている。名前はチラリと南に目線を向けた後、ギリギリ届いた足でツンっと南のつま先に触れた。
『…好きやで』
子どもたちは、皆同じ〜!とはしゃいでいるが、名前はやっぱり頬を染めながら微笑んでいた。南は再び脚をのばし、今度は脛をスーッとなぞる。
名前はビクッと反応し、バッと顔を上げて南を見た。
(なんちゅー顔してんねん…)
目で訴えると、名前はじっと南を見ながら声を出さずに口を動かした。
〝スケベ〟
「後で覚えときや。すき焼食ったしな」
名前は普通に話す南の言葉に口をポカンと開け、ただ見ることしかできなかった。
「はーい!」
絶妙の間で長女の良い返事がされ、大笑いする名前の声が食卓に響いた。
今日も南家は幸せだ。
おわり
あとがき
