全部、眩しかった。

3人は家に帰る前に、いつもの公園に立ち寄った。


「終わってしもたな」

「……」

「ホンマ、早すぎやわ」


思い返せば、満足することなど無かった。もっと上手くなりたい、勝ちたい、ただそのためだけにやってきた。

だから、終わりなんて考えたことがなかった。それが今なのだとしたら、ずっと前からこの場所にあったのかもしれないと3人は思った。


ボールが弾む音

シューズの摩擦音

掛け合う声

喜びのハイタッチ

励ましの言葉

楽しいと思う気持ち

 

全部、眩しかった。



ここに来るまで、間違いが無かったとは言えない。それでもたどり着いたこの場所に、3人が揃っていることが嬉しかった。


「楽しかったなぁ」

「いつの間にこんなデカなったんや、俺たちは」

「…それに気付かん程、夢中やったっちゅーこっちゃ」


夕陽が3人を照らし、影が長く伸びていた。


「ところで〝フォーメーションA〟のAって何やったん?」

「淳のAやんか」

「さぶっ…」



ずっと変わらないようで、少しずつ変わっていく。

変わりたくないけれど、変わっていかなければいけないこともある。

この満たされない、不思議な気持ちが愛おしい。



ずっと埋まらないくらいでいい。


いつでも僕らに時間が少し足りないのは、


青春と一瞬がセットだから。




誰にも僕らの素晴らしい日々は奪えない。




彼らの友情に捧げる、物語 ──




おわり


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