消えない灯火
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「こんな所、よく知ってたな」
『ずーっと探してたんだよね。いつかマサと祭りに行ける日のために。でも、こんなに早く来るとは思わなかった』
まだ祭りが始まっていない景色を見つめ、名前は寂しそうに言った。
「竿灯みたいに一夜灯った後、潔く散るのもまた趣があるべ」
その時、一斉に竿灯の灯りが灯った。
赤く燃える炎のような光がうごうごと町を練り歩いてゆく。
『冬に竿灯が灯っても、粋なんじゃないかなぁ……冬の選抜でリベンジしなよ』
河田は、竿灯の赤い光に薄らと照らされた名前から、強い信念のような物を感じた。言葉にならない程、凛として美しかった。
『冬は東北人の強さの見せ所でしょ。雪も積もらないような所の人たちに負けるな!マサの強さ、見せつけてやれ!』
名前は大声で叫び、こだまする声に引き出されるかのように涙がスーッと流れ出ていた。
「何でお前が泣くんだよ」
『…マサのことが好…』
「待った。そこから先は俺が言う」
河田は名前の言葉を遮った。
「俺はもうずっと前からお前に惚れてた。お前が俺に惚れてることも気付いてた。でも、なかなかお前にかまってやれないんじゃねぇかと思うと簡単に言えなかったんだ。スマン…」
『…っ…もう…そんなの…いいのにっ…』
河田は先程の名前の姿、言葉からそんな器の持ち主ではないと確信した。そして強く美しい彼女を見ていると、自分が何をすべきなのか奮い立たせられた。
「泣くな!お前はちょっと勝気なくらいがちょうどいい」
名前の頭をガシガシと撫でながら、河田は言った。
「待ってろよ。冬の竿灯、必ず見せてやるからな」
『…うん。楽しみにしてる』
心にさす新たな光が絶えないよう、守っていきたい。
名前という、小さな灯火を。
それから数日後、河田は兄弟で星空を見上げる日を迎える。
おわり
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