カフェモカなんてジョノクチ
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今日、引退の挨拶をした。
新キャプテンの伊藤が号泣していると、名前が隣りに立ち、背中を叩きながら慰めていた。
(ああ、もう名前の隣りに立つのは俺じゃないんだ…)
そう思うと気持ちがムズムズし、気付けば「好きなモン奢ってやるから、ついて来い」と、名前を誘っていた。
「何食いたいんだ」
『シアトルズベストコーヒーのカフェモカとティラミスマフィンが良いです!』
「モカとマフィンって…どっちも甘そうだな」
『そこのカフェモカはチョコレートスティックがついてきて、溶かしながら飲むんですよ〜!』
「…太るぞ」
『太っても藤真先輩に迷惑かからないですよ』
顔が隠れていて分からないが、たぶん名前は今ツンと口を尖らせているだろう。そういうのが分かってしまうくらい、俺はもう随分前から名前のことが好きだった。
でも素直になれない俺は、こうしてつい素っ気なくしたりしてしまう。そうすることで名前が追いかけてくるかどうか、試したりもしていた。我ながら面倒くさい性格だと思う。しかし今日は勢いで誘ったものの、良いチャンスだ。
『藤真先輩のお小言も今日で終わりかぁ』
「俺は小姑かよ」
『うふふ…良いですね、小姑!』
どんな会話でも、名前は最後に笑いに変えてしまう。一緒にいるとやっぱり楽しいと思う。
「ありがとな」
『えっ…な、何です?急に』
「冬まで全員残って頑張れたのは、辿っていけば名前がいてくれたおかげだろ。ちゃんと言葉にして言いたかったんだよ」
『そんな……でも、役に立てて嬉しいです』
照れくさくてすぐに顔を見ることはできなかったが、チラリと目線をやるとマフラーからはみ出しそうなくらい、満面の笑みでこちらを見ていた。
「俺さ、お前の笑った顔、すげー好き」
『へっ…?』
「お前が笑顔になる出来事を、これからも隣りで見せてくれ。つまんねーことも全部笑顔に変えちまおうぜ!」
名前は真っ赤な顔で暫く固まっていたが、マフラーを解き、再び歩き始めた。
『そんな無邪気な笑顔、反則です!…もう、暑いからアイスカフェモカに変更します!!アイスにはチョコレート付いて来ないのに!!』
「…どっちにしろ、太るぞ〜」
『もう!!小姑ヤダ!!』
君と同じ景色を見ていたい。
励ますんじゃなくて、悲しみも一緒に感じたい。
遠回りしても、最後にはいつも笑っていられる。
ずっとこの先も、変わらないと良いよな。
カフェモカなんてジョノクチだ。
もっと甘い時間を、君と。
おわり
あとがき→
新キャプテンの伊藤が号泣していると、名前が隣りに立ち、背中を叩きながら慰めていた。
(ああ、もう名前の隣りに立つのは俺じゃないんだ…)
そう思うと気持ちがムズムズし、気付けば「好きなモン奢ってやるから、ついて来い」と、名前を誘っていた。
「何食いたいんだ」
『シアトルズベストコーヒーのカフェモカとティラミスマフィンが良いです!』
「モカとマフィンって…どっちも甘そうだな」
『そこのカフェモカはチョコレートスティックがついてきて、溶かしながら飲むんですよ〜!』
「…太るぞ」
『太っても藤真先輩に迷惑かからないですよ』
顔が隠れていて分からないが、たぶん名前は今ツンと口を尖らせているだろう。そういうのが分かってしまうくらい、俺はもう随分前から名前のことが好きだった。
でも素直になれない俺は、こうしてつい素っ気なくしたりしてしまう。そうすることで名前が追いかけてくるかどうか、試したりもしていた。我ながら面倒くさい性格だと思う。しかし今日は勢いで誘ったものの、良いチャンスだ。
『藤真先輩のお小言も今日で終わりかぁ』
「俺は小姑かよ」
『うふふ…良いですね、小姑!』
どんな会話でも、名前は最後に笑いに変えてしまう。一緒にいるとやっぱり楽しいと思う。
「ありがとな」
『えっ…な、何です?急に』
「冬まで全員残って頑張れたのは、辿っていけば名前がいてくれたおかげだろ。ちゃんと言葉にして言いたかったんだよ」
『そんな……でも、役に立てて嬉しいです』
照れくさくてすぐに顔を見ることはできなかったが、チラリと目線をやるとマフラーからはみ出しそうなくらい、満面の笑みでこちらを見ていた。
「俺さ、お前の笑った顔、すげー好き」
『へっ…?』
「お前が笑顔になる出来事を、これからも隣りで見せてくれ。つまんねーことも全部笑顔に変えちまおうぜ!」
名前は真っ赤な顔で暫く固まっていたが、マフラーを解き、再び歩き始めた。
『そんな無邪気な笑顔、反則です!…もう、暑いからアイスカフェモカに変更します!!アイスにはチョコレート付いて来ないのに!!』
「…どっちにしろ、太るぞ〜」
『もう!!小姑ヤダ!!』
君と同じ景色を見ていたい。
励ますんじゃなくて、悲しみも一緒に感じたい。
遠回りしても、最後にはいつも笑っていられる。
ずっとこの先も、変わらないと良いよな。
カフェモカなんてジョノクチだ。
もっと甘い時間を、君と。
おわり
あとがき→