あの夏、あの日、あの場所で
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「ただいま」
『おかえりなさい』
「これ…」
赤木は愛する妻、名前に小さな花束を渡した。今日は2人の結婚記念日だからだ。
『わぁ、毎年ありがとう』
柔らかく微笑む名前を見て、赤木も目を細める。
『やっぱ、あの日のこと思い出しちゃうな』
「……」
『あ、今年も照れてる!』
それは、まだ2人が小学生だった頃──
晴子と同級生の名前は、いつも赤木の周りをウロチョロしていた。
『タケちゃん、それ何読んでるの?』
「〝週間バスケット〟だ。凄いだろ、この表紙の選手」
『なんか強そうだね』
「山王工業、最強のチームなんだ」
赤木少年は目をキラキラと輝かせ、名前に話した。
『…じゃあ、そのチームに勝ったら一番強いってことだよね?』
「そうだよ」
『じゃあタケちゃんが一番になったら、私、タケちゃんのお嫁さんになるね!』
「えっ…な、何だよ、ソレ!勝手に決めるなよ!」
『約束だよ〜!』
それから赤木の苦労と苦悩の日々は始まっていった。チームメイトに恵まれず、なかなか本領発揮できないまま、とうとう高校最後の年を迎えた。
その夏、湘北高校バスケ部はインターハイで山王工業を敗るという伝説を残した。全国制覇は成し遂げられなかったものの、引退時の赤木に悔いは感じられなかった。
挨拶を終え、赤木と木暮は体育館を後にする。
「明日から部活が無いって、何か変な感じだよな」
「何を言うか。次は受験だ、受験!」
そう言いながら、赤木の足は玄関に向かっていない。
「あれ?赤木、帰らないの?」
「…ちょっと、用がある。また明日な」
1年生の校舎に向かうのを見た木暮は、晴子に用があるのだろうと思い、特に気に留めなかった。
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