不思議な世界のおとぎ話は、やっぱりハッピーエンドで。
NAME CHANGE
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「名前〜!もっと大きいの作ってよ」
待ち合わせ場所の公園に来てみると、彼女の名前を呼ぶ声が聞こえた。近付くと、名前が近所の子どもに囲まれてシャボン玉を飛ばしていた。
(子どもに呼び捨てにされてるし…)
風に乗って七色に光るまんまるの泡がキラキラと流れてゆく。それを見て、子どもと同じようにはしゃぐ彼女が愛おしい。
「名前」
呼びかけると名前はくるりと振り返り、柔らかく微笑んだ。俺だからそんな顔するんだよな?と心の中で呟く。
『やっほ〜、栄治』
「…ここ、寝癖ついてるぞ」
『あー、どうやっても直らなくてさ…ま、いっか!ってなっちゃったんだよね』
「…そっか」
俺の彼女、名前は超マイペースで大らかな性格の持ち主だ。〝秋田の女は大らかで陽気〟と言われている中でも、おそらくトップクラスに匹敵するだろう。
のんびりと言うか何なのか表現の仕方に困るけど、目まぐるしい日々を送る俺をおとぎ話の中に連れて行ってくれるような、その不思議な雰囲気が大好きだ。
インターハイが終わったら、俺はアメリカに行く。だから今は名前との時間をこれまで以上に大切にしている。
「名前、もうすぐ誕生日だよな。その頃はインターハイも終わってるし、ゆっくりお祝いできるな」
『…私さ、もう歳取るのやめる』
「は?」
『私、16歳のまんまで良い』
早く大人になって、名前と朝から晩までずっと一緒に過ごす生活を夢見ていた俺にとって、この言葉は少し寂しかった。
「な、何で?」
『…インターハイで優勝して帰って来たら教えてあげる』
ニッと歯を見せて笑う彼女が可愛くて、今年も絶対優勝してみせると心に誓った。たぶん名前はそう言えば俺がやる気になると分かっているのだろう。
俺を一番分かっている、大切な大切な彼女だ。
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