Lifelong Medicine
NAME CHANGE
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『はぁ〜…やっと嵐が去った…』
長男を送り出し、次男を幼稚園まで連れて行き、コーヒーを飲んでひと息つくこの時間が名前のささやかな楽しみであった。店を開けるのは10時だ。それまでに家事を済ませねばと時計をチラリと見ると、長女がリビングに一人で入ってきた。
「おかあさん」
『んー?どないしたん?お父ちゃんは?』
「ねんね」
『え?』
いつもなら開店準備をしているはずだ。寝室に行ってみると、南はクッションを枕代わりにして横になっていた。
『烈、どうしたん?しんどい?』
「ちょっと熱っぽいかもしれへん…」
『ありゃ。ほな、今日は店休もか。貼り紙してくるわ』
「いや、これくらい何とも……」
と言いつつ、南は思い切りクシャミをした。
『無理せんと、今日一日休も?な?』
「…分かった」
南が風邪を引くだなんで、何年ぶりだろうか。やはり歳は取るし、疲れも抜けにくくなっていく。通勤時間は無いけが、同じ建物にある家と店に一日中いる。子どもが小さいため、休日は遠出もできない。名前には学校や幼稚園の保護者とコミュニティが日々あるが、南には取引先の業者くらいしかない。
(もしかしたら、ストレス溜まってるのかも…)
名前は居た堪れない気持ちになり、溜息を吐きながら表に臨時休業の貼り紙をした。
「おばたん!」
「おはよ〜!今日も変わらずパパにそっくりやね。あれっ、今日お休みなん?」
近所の花屋の奥さんが声を掛けてきた。よく気遣ってくれ、子どもたちも懐いている。
『はい。ちょっと烈が風邪引いちゃって…』
「あらぁ〜大変!ほんなら夕方までおチビちゃんうちで預かろか?兄ちゃん達も真っ直ぐうちに帰って来たらええよ。うち今日定休日やし」
『えっ…でも、そんな…』
「遠慮なんかせんといてや。困った時はお互い様やで!ほな、おばちゃんちで遊ぼか〜」
「あそぼか〜」
『ホンマにええんですか?』
「何かあったらすぐ連れて行くし、気にせんといて」
長女は嬉しそうに着いて行った。こういう時、グズグズしない性格で助かることが多い。
家に戻ると、何だか落ち着かなかった。お客さんの声と子どもたちの声がしないだけで、こんなにも静かなんだと名前は驚いた。
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