君は僕の問題、僕は君の答え
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最後のインターハイが終わった。
山王工業が緒戦で負けるなど誰が想像しただろうか。生徒や地元の人たちは、まさかの展開に言葉を失った。
広島から帰って来た一行には、いつもとは違った種類の視線が寄せられていた。長い歴史の中で、初めて起こった現象かもしれない。
3年生は、揃って夏で引退することを堂本監督に申し出た。今日、後輩たちに挨拶をし終えたら、深津はもうキャプテンではなくなってしまう。
(結局、終わりの日まで答えられなかったピョン…)
いつもより少しだけゆっくりとしたペースで、体育館へと足を運ぶ。そこに、ふわりと風が吹いた。少し冷んやりした空気が通り抜ける。深津は一度空を見上げ、秋田の夏の短さに自らを重ねた。そして再び進行方向に視線を向けると、風に乗って来たかのように名前が立っていた。
深津は一歩一歩、噛み締めるように足を進め、名前の前で立ち止まる。
「名字さん、待たせてしまってごめんピョン」
『いえ、とんでもないです』
風が吹き抜ける。
スカートと同じ方向に靡く髪が顔に掛かり、そっとおさえる名前が今にも消えてしまいそうなくらい美しい。
「色々考えたピョン。足しても引いても掛けても割っても、どう言葉にするべきか分からなくて…言葉にできないなら、行動で見せるのはどうかと思ったピョン。だから…」
『だから…?』
「答えは〝深津一成そのもの〟だピョン。ずっと俺を見ていて欲しい」
想像もしていなかった答えに、名前は頬を赤らめた。
『…私といてくれるってことですか?』
「名字さんが納得できるまで、とことん付き合うピョン」
『それじゃあ、答えは出ない方が良いのかもしれませんね』
ニッと歯を見せて笑う名前の八重歯が可愛らしいことを、深津は今初めて知った。
(こんな顔するのか……)
君が僕の問題
僕が君の答え
超難問ゆえに、これからもずっと名前のことを考えていられそうだ。
そう思い、深津はキャプテンとして最後の体育館に向かった。
おわり
あとがき→
山王工業が緒戦で負けるなど誰が想像しただろうか。生徒や地元の人たちは、まさかの展開に言葉を失った。
広島から帰って来た一行には、いつもとは違った種類の視線が寄せられていた。長い歴史の中で、初めて起こった現象かもしれない。
3年生は、揃って夏で引退することを堂本監督に申し出た。今日、後輩たちに挨拶をし終えたら、深津はもうキャプテンではなくなってしまう。
(結局、終わりの日まで答えられなかったピョン…)
いつもより少しだけゆっくりとしたペースで、体育館へと足を運ぶ。そこに、ふわりと風が吹いた。少し冷んやりした空気が通り抜ける。深津は一度空を見上げ、秋田の夏の短さに自らを重ねた。そして再び進行方向に視線を向けると、風に乗って来たかのように名前が立っていた。
深津は一歩一歩、噛み締めるように足を進め、名前の前で立ち止まる。
「名字さん、待たせてしまってごめんピョン」
『いえ、とんでもないです』
風が吹き抜ける。
スカートと同じ方向に靡く髪が顔に掛かり、そっとおさえる名前が今にも消えてしまいそうなくらい美しい。
「色々考えたピョン。足しても引いても掛けても割っても、どう言葉にするべきか分からなくて…言葉にできないなら、行動で見せるのはどうかと思ったピョン。だから…」
『だから…?』
「答えは〝深津一成そのもの〟だピョン。ずっと俺を見ていて欲しい」
想像もしていなかった答えに、名前は頬を赤らめた。
『…私といてくれるってことですか?』
「名字さんが納得できるまで、とことん付き合うピョン」
『それじゃあ、答えは出ない方が良いのかもしれませんね』
ニッと歯を見せて笑う名前の八重歯が可愛らしいことを、深津は今初めて知った。
(こんな顔するのか……)
君が僕の問題
僕が君の答え
超難問ゆえに、これからもずっと名前のことを考えていられそうだ。
そう思い、深津はキャプテンとして最後の体育館に向かった。
おわり
あとがき→