High Scenery
NAME CHANGE
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「じゃあ最後、牧」
「はい」
高頭監督に促され、牧の挨拶が始まった。1年生から順に一人一人に言葉をかけていき、期待の言葉を向けられた清田は先程までとは違い真剣に聞き、受け止めていた。
「名前」
名前は自分の名前を呼ぶ牧の声を耳に焼き付けようとしていた。なぜなら自身は内部進学の予定は無く、牧とは別の大学を志望しているからだ。
もう二度と名前を呼んで貰うことはないかもしれない…そう思うと何だか急に胸が張り裂けそうになった。
「神を支えてやってくれ。全国優勝のためにサポートを頼む」
『は、はい…』
嗚呼、これが最後の言葉か…噛み締めるように全身にグッと力を入れると、神がスッと手を上げて口を開いた。
「あの、名前の支えが必要なのは俺じゃないと思います」
予想外の言葉に名前はギョッとして神の方を見た。
「大丈夫です。必ず、皆で全国優勝してみせます。だから牧さん、後悔だけは無いように今日を終えて下さい」
神は真っ直ぐに牧の方を見ながら、ハッキリと言い切った。他のメンバーも頷いたり、真剣な表情をしたりしている。
(どういうこと…?)
名前は戸惑った。自分以外のメンバーは神の発言の意味を分かっているようで、このまま自分だけモヤモヤしたままなのが歯痒い。
練習が始まろうとしている時、高頭監督が名前に話しかけた。
「牧を見送ってきてくれ。練習は先に進めておく」
『は、はい…』
監督は小声で「世話が焼けるなぁ…」と呟いた。そして妙に口調が優しかった。
もしかすると、監督さえも神の言葉の意味を分かっているのだろうか。逆に何故自分だけ分からないのだろう…そう思いながら名前は、牧を追いかけた。
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