野良犬漫遊記
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
冬の選抜予選が終わった。
神奈川代表は翔陽に決まった。やはり3年生が全員残っているだけあって、信頼関係の強い素晴らしいチームだと改めて思った。
三井先輩は予選で負けた時、嘘みたいに泣いた。人目も気にせず、ボロボロと涙を流していた。あの日のことはこれから先もずっと忘れられないと思う。
そして今日、三井先輩は部活を引退する。
「挨拶だけだから、待っててくれ」と言われ、私は三井先輩を玄関ホールで待っていた。思い出に浸るには、ちょうど良い寒さだった。
私と三井先輩が付き合い始めたのは、中学MVPを獲ってすぐの頃だ。高校に入って間もなく怪我をし、部活に顔を出さなくなったと同時に私への連絡も途絶えた。
そこから復帰するまでの間、随分と荒れていたと聞いた。
三井先輩には黙っているけれど、一度だけガラの悪そうな人たちと街を歩いている姿を見たことがあった。
この世の全てがつまらない、この世の全てがバカらしい、そんな風にただ街を歩いているだけに見えた。でもスポーツ店の前で〝バスケット用品〟という文字をジッと見つめる姿を見た時、胸が締め付けられた。
今思えば、あの頃の三井先輩は日だまりを探し歩く野良犬のようだった。
三井先輩が部活に戻ったと聞き、私は真っ先に体育館に向かった。ボールを放つ美しい音を合図に、私たちの恋も再開した。同じことを繰り返さないように、私がこの人を支えようと心の底から思った。
乱暴なやり方でバスケットという憧れに近付いていったと聞いた。あんなことがあっても、全てを受け入れてくれた部員たち、先生、野良仲間たちには本当に感謝している。
.
神奈川代表は翔陽に決まった。やはり3年生が全員残っているだけあって、信頼関係の強い素晴らしいチームだと改めて思った。
三井先輩は予選で負けた時、嘘みたいに泣いた。人目も気にせず、ボロボロと涙を流していた。あの日のことはこれから先もずっと忘れられないと思う。
そして今日、三井先輩は部活を引退する。
「挨拶だけだから、待っててくれ」と言われ、私は三井先輩を玄関ホールで待っていた。思い出に浸るには、ちょうど良い寒さだった。
私と三井先輩が付き合い始めたのは、中学MVPを獲ってすぐの頃だ。高校に入って間もなく怪我をし、部活に顔を出さなくなったと同時に私への連絡も途絶えた。
そこから復帰するまでの間、随分と荒れていたと聞いた。
三井先輩には黙っているけれど、一度だけガラの悪そうな人たちと街を歩いている姿を見たことがあった。
この世の全てがつまらない、この世の全てがバカらしい、そんな風にただ街を歩いているだけに見えた。でもスポーツ店の前で〝バスケット用品〟という文字をジッと見つめる姿を見た時、胸が締め付けられた。
今思えば、あの頃の三井先輩は日だまりを探し歩く野良犬のようだった。
三井先輩が部活に戻ったと聞き、私は真っ先に体育館に向かった。ボールを放つ美しい音を合図に、私たちの恋も再開した。同じことを繰り返さないように、私がこの人を支えようと心の底から思った。
乱暴なやり方でバスケットという憧れに近付いていったと聞いた。あんなことがあっても、全てを受け入れてくれた部員たち、先生、野良仲間たちには本当に感謝している。
.
1/3ページ