飽和水蒸気量
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『…烈は、私らの想像を遥かに超えた存在やな…』
ボソリと呟いた名前の腕を岸本が急に掴んで引き寄せ、唇を奪った。舌をグリグリと絡め、貪るように口内を犯す。
『んっ……み、のり……どないしたん…』
名前が離れようとしても、岸本は後頭部を抑え貪り続ける。
どちらのものかも分からない吐息が、さらに部屋の湿度を高めていく。
『はぁっ…んんっ…』
名前の目がうるうると光り、岸本の欲を掻き立てる。
湿度のせいか、いつもより汗ばんでいる身体は冷んやりとしている。肌と肌が触れたところが、二人の気持ちを表すようにくっついて離れない。
「名前は…俺だけのモンや…」
岸本のこの言葉でお互い理性を見失い、夢中で貪りながら愛を確かめ合った。
「あっつ……汗でベタベタや…」
『…私は汗じゃない物でもベタベタなんやけど…』
全く身体に力が入らない名前は、乱れた髪を優しく撫でられながら岸本の腕の中にいた。
『激し過ぎや…』
「…悔しかってん」
『へ?』
「俺と名前が好き同士やって、南が先に気付いてたことが悔しかってん」
岸本の拗ねた表情を見て、名前は優しく微笑む。
『…でも私がこんなに乱れるなんて、烈は知らんやん』
「知っとったら怖いわ……あー!もう!やっぱ悔しいわ!!」
岸本は二人の身体に掛けていたタオルを、ひよこのクッションに被せた。
「…もうひよこは見てへんから、もっと乱れて見せてや」
再び岸本の唇が名前の首筋に吸い込まれていく。
その日の夕方、首に赤い印をつけた名前と岸本が手を繋いで歩く姿を見たと言う噂が出回った。
「てっきり名前ちゃんは、烈くんとくっつくと思っとったわぁ〜」
南龍生堂のレジに風邪薬を置きながら、近所のおばちゃんは言った。
「…1,890円です」
「あれ、雨漏りしとるやん。早よ直さな」
天気のせいか、薬を入れる紙袋が湿っぽい。
応急処置で置いたバケツに、一定のリズムで雨水が落ちていく。
気怠い南の気持ちを見透かしたように、澄んだ水音が何度も何度も繰り返し響き渡った。
(俺もずっとそう思ってたっちゅーねん…)
おわり
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