Inside and Out
NAME CHANGE
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呆然と立ち尽くしていると、彼女が向かう方向からツンツン頭の男がフラフラと歩いてきた。
「あ、名字さん!監督どの辺にいた?全然見つからないんだけど」
『…保健室の近くで探してたよ』
彼女は小さな声で無愛想にボソリと話した。その光景から、事の重大さに俺はようやく気付いた。
「名字!」
思わず叫ぶと、彼女の足がピタリと止まる。
「さっきのやっぱ、ナシ!仙道じゃなくて……俺だと良いなって…ずっと思ってたんだ!」
彼女はくるりと振り返り、頬を赤らめていた。その初めて見る何とも言えない表情に、目も心も全て奪われてしまいそうになる。
『…私もそう思ってたよ。結構前から…』
もう修学旅行の班が同じになったことが些細なことに思える程、今俺の目の前で特大のキセキが起きている。
アハハと笑う彼女の照れくさそうな笑顔は、今日の空みたいに爽やかで吸い込まれそうになった。
「あっ…!仙道!やっと見つけた!!」
体育館以外であまり聞きたくない監督の声で、ふと現実に引き戻された。というか、仙道がいることを忘れていた…。
「あっ、監督。今いいところなんですから邪魔しないで下さいよ〜」
「そんなの知るか!ちょっと来い!」
監督に連れられ、仕方なさそうに歩きながら仙道がニコニコとこちらを見て言った。
「2人、やっと付き合えたね。ていうか両思いだって知らなかったの、2人だけじゃないのかな?」
「は?」 『えっ?』
「さっき名字さんが監督に話しかけられてるの見たから、越野にわざと話しかけたんだよね。誰が見てもお互い好き同士だし、キッカケになれば良いなぁ〜って思ってさ」
『だ、誰が見ても…って?』
「分かり易過ぎだよ、2人とも。あの福田も気付いてたよ?」
「ふ、福田も?!何だよソレ〜、かっこ悪ぃ〜」
急に恥ずかしくなり、俺はその場に蹲み込んだ。すると、名字が同じように蹲んだ。同じ高さの目線で、しかもこんなに近くからクリクリの目が俺の顔を覗き込んでいる。
ヤバイ…可愛い過ぎだろ…
『あの…さ、越野くん。修学旅行、2人で思い出作れたら良いね』
「…それ、俺も結構前から思ってた」
あぁ、修学旅行が待ち遠しい。
もう名字の隣りにいることが許された今、次の1秒すらも待ち遠しい。
『ホント、仙道くんのおかげだよね』
そうだ。そもそも仙道が話しかけてきたことが始まり……いや、待てよ。監督が仙道を探していたことが始まりってことだよな…。
結局俺はバスケ部の皆に、コートの中でも外でも助けられてるって訳だ。
全く…何だよ皆して。
次は試合で、俺が起点になってキセキを起こしてやろうじゃねーか。
今日はいつもより、部活に行く足取りが軽かった。
(そういえば何で、仙道と班一緒が良かったんだ?)
(仙道くんがいれば、越野くんと上手く話せるなって思ったから…)
(あー…それは俺も分かる気がするわ)
(やっぱ仲良いじゃん!)
(…そうかもな)
おわり
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