Inside and Out
NAME CHANGE
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キセキが起きた。
来月の修学旅行の班分け表を見て、俺は心の中でガッツポーズを決めていた。
好きな子と同じ班になっていた!
全クラスごちゃまぜ、しかも抽選で決めて(と、先生が言っていた)同じ班になる確率って……計算がめんどくせえけど、とにかくキセキが起きた!
余韻に浸りたくて ジーッと廊下の壁に貼られている表を見ていると、よく知った声が俺の名前を呼んだ。
「越野〜、一緒の班じゃなかったね〜」
「仙道…語尾をのばすなよ!鬱陶しい」
仙道は修学旅行の班分けなんかで一喜一憂する奴じゃないことは、重々承知だ。なのに、わざわざ話しかけて来たということは何かある…!そう思い、身構えると今度は透き通るような声が聞こえてきた。
『あ、仙道くん!田岡先生がめちゃくちゃ探してたよ?…って、また越野くんに絡んでるの?ホント仲良いね』
「えー、部活以外で呼ばれるの勘弁して欲しいなぁ。ん?越野、俺らって仲良いの?」
「……仲良くねえよっ!早く監督の所に行けよ!」
『アハハハハ!やっぱ仲良いじゃーん』
明るく笑うこの彼女、名字は俺の好きな子だ。
話すキッカケが仙道という所がシャクだが、何せよラッキーだ。
『あ、越野くん、班一緒だよね?ヨロシクね!』
「…おう。よろしく」
あー!もう!何でもっと愛想良く話せねえんだ!俺のバカヤロウ!!
心の中で自分自身と闘っていると、名字は班分け表を見始めた。
『…仙道くんも一緒だったら良かったのにね』
彼女の口から出た言葉を、どう理解すれば良いのか俺には分からなかった。
ただ何となく分かったのは、仙道がいる時といない時で話し方が違っていることだ。
俺は意を決し、名字に聞いてみた。
「も、もしかして名字って…アイツのこと好き…とか?」
この言葉を言った瞬間、名字がキッと俺を睨んだ。
『…越野くんには、そんな風に見えた?』
「えっ…」
彼女はチラリと俺の目を見た後、教室の方に向かって歩き出した。今の言葉も、どう理解すれば良いのかやっぱり分からない。
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