Shabby Happiness
NAME CHANGE
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3人目が生まれて2年が経った。
南家は毎日ドタバタしていたが、意外にも長男がよく赤ん坊の面倒を見てくれ、南と名前は感謝と成長を感じつつ何とかやってこれた。
3人目は女の子だった。南をそのままコピーしたのではないかと言って良い程、そっくりだった。
薬局の方はというと、以前より客足が増えていた。キッカケは南が考えた策……ではなく、長女の存在だった。
名前が長女の日光浴がてら、おんぶをしながら店の前を掃除することがあった。人が通る度に「店長さんにソックリ!」と言われ、南と長女見たさ(正確には、見比べたさ)にお客さんが増えたのだった。所謂〝看板娘〟というやつだ。
2歳にもなればそれなりに話すし、意思表示もする。よく南の真似をして「ほな、おだいじにぃ〜」と言うのがお客さんからの人気芸だ。
(お腹におる時、烈をベタ褒めしまくったから似たんやろうか…)
昼寝をする娘を見ながら、名前はそんなことを考えていた。
すると部屋のドアが静かに開き、南が手招きをした。名前は娘を起こさないように、静かに部屋を出た。
『どうしたん?』
「おかんから電話があってな、来週ちょっと帰って来るねんて。ほんで子どもらの面倒見るから、たまには名前に息抜きして貰え言うてたわ。一日だけやねんけど」
『そんな…ええの?』
「俺は構わへんで。むしろ気効かんでスマンな…ゆっくり羽伸ばしや」
南はポリポリと頬の辺りを掻きながら、バツが悪そうにしていた。
『……烈、デートしよか』
「は?」
『2人だけで出掛けるなんてもう何年も無いやろ?その日は店も休みにしてさ。烈だって羽伸ばさな』
確かに結婚してから毎日バタバタしていて、そんな時間を取ることができていなかった。名前は店のことだけでなく、出産、育児、家事、家計管理……南が協力してくれるとはいえ、それら全てを今日までやってきた。にも関わらず、いざ休むとなると自分とデートすることを選んだ名前が、南は愛おしくて堪らなかった。
「…ほな、久しぶりに2人でどっか行こか」
『ホンマに?!嬉しい!めっっっちゃオシャレして行こ!!』
歓喜の声を上げるその姿は、子どもたちとよく似ている。こういう些細なことに幸せを感じられるなんて、自分の心は随分豊かになったものだと南は自身に感心した。
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