Mercredi
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次の水曜日
いつも神くんと話す時間に彼氏を呼び出した。私は彼氏がこの時間に講義を取っていないことすら知らなかった。
「名前、話って…あれ?確か同じ学科の…」
「神宗一郎です。早速だけど、名前ちゃんをあなたの〝キーホルダー〟みたいに扱うの、やめてくれないかな」
いきなり本題を切り出した神くんに私は驚き、言葉が出なかった。
「は?コイツは俺といて初めて成り立つんだよ。名前、お前はどう思ってんの?」
『…そういうのがイヤで、別れたいって思ってる』
「…本気か?俺がいないと何もできないだろ」
「やめろよ」
いつもより低い声で、神くんは彼氏の言葉を遮った。
「…俺の好きな子をそんな風に言うのは、やめて欲しい」
急に口調を強めた神くんを見て、彼氏の肩がビクッと震え上がった。
「名前ちゃん、行こう」
神くんは私の手を取り、彼氏をその場に残してスタスタと歩き始めた。手を引く力が強く、いつもとは違う一面を見た私はドキドキしっぱなしだった。
神くんは無言で歩き続け、大学構内の緑地まで来たところで足が止まった。
「やっぱ無理だった」
『えっ…?』
「話では聞いてて分かってたけど、名前ちゃんを目の前で悪く言われて、我慢できなかった」
夕陽が神くんを照らす。逆光でシルエットしか見えないけれど、その横顔がキレイで見惚れてしまう。
『あ、あの…神くん…さっき、好きな子って言った…よね?』
恐る恐る聞いてみると、神くんはフッと微笑みながら私の方を見た。
「こんな形で伝えるつもりじゃなかったんだけど…彼氏のことで悩んでるって聞いた時、正直チャンスだと思った。名前ちゃんが俺の方を見てくれるなら、何だってしてやるって思ったよ」
息つく間もない程、神くんの好きという気持ちが私の心を突き抜けてゆく。
「…もう俺だけ見ててよ。ね?」
もう次の講義はとっくに始まっている時間だった。
でも、今はそんなのどうでも良い。
今度こそは本物の恋だって、信じても良いよね…?
何かゾクゾクするようなその笑顔に溺れてしまいそう。
『…息もできないくらい、私を夢中にさせて』
おわり
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