挨拶に代えて〜episode P〜
NAME CHANGE
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今日は馴染みの串カツ屋で岸本と一緒に食事をすることになっている。席に着くなりビールを頼み、名前と岸本の中ジョッキは一瞬で空になってしまった。
『私、基本は女でええねん。メイクしてオシャレして可愛い物集めてとか、そういうのは好きやねん。でも〝女だからこうせなアカン〟っていうのがイヤやねん。結局まだまだ男社会やし、女は一歩下がって男を立てるもんやっていう人が圧倒的に多い』
「まあ確かにそれはあるな。俺の会社にも、女のくせにってよう言うおっさんおるで」
『やんなぁ。それに男だけがそうしてる訳ちゃうねん。女が〝女だからこうするべき〟っていう世界を作ってるやろ?結局、女が足の引っ張り合いしてんねん』
「名前も大変やなぁ。まあ今日は金曜日やし、とことん飲もうや」
『実理…アンタは心の友やわ。何でこんなええ奴なのに彼女にフラれるんやろうなぁ〜』
「そうやねん!もうホンマ傷が癒えんわ…よっしゃ!ハイボールおかわり!!」
岸本と名前は盛り上がっていた。南は少し心配しつつ、二人の様子を黙って見ていた。
1時間後
二人はもう立派な酔っ払いになっていた。
『あぁ〜…このタマネギの串カツめっちゃ美味しい…私はこうやってほんの少し誰かを幸せにできる存在になりたいねん。もう串カツになりたい…』
「ええやんソレ!名前なら、なれるで!」
『ホンマにぃ〜?ほな麗しのソースに浸からな』
店のソースに手を突っ込もうとする名前の腕を南は掴んだ。
「…飲み過ぎや」
『烈…心配せんでも大丈夫や。二度漬けなんてヤボなことはせぇへん!』
「しょーもないこと言うな。そろそろ帰るで」
会計を済ませ、3人は店を出た。まだ時間が早いせいか、夜の街に誘われるおじさんたちで溢れていた。
「俺、もうちょい飲んで帰るわ。名前、また話聞くからな。南、ほなまた」
『ありがとう、心の友〜』
名前は岸本にひらひらと手を振っている。
「岸本」
南の声で岸本が振り返る。
「スマンな。おおきに」
「…大事にしたれよ」
ニッと歯を見せて笑う岸本は、軽く手を上げて夜の街に消えて行った。
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