(後編)
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用意された車に乗り、私たちは親が待つホテルのレストランに向かった。挨拶と会食は滞りなく終わり、終始和やかだった。
楓と私は明日アメリカに向かうため、今日はこのホテルに宿泊することになっている。親の見送りを終え、一安心だ。
『皆、喜んでくれて良かったね。じゃあ婚姻届出しに行こっか』
椅子から立ち上がると、楓が私の腕を掴んだ。
『どうしたの?』
「…ちょっと来て」
楓は私の腕を引き、エレベーターに乗った。扉が開くと、そこには数名のホテルスタッフがいてニコニコとこちらを見ている。
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
「お願いします」
『えっ…ちょっ…何?』
私は奥の部屋に連れて行かれた。嵐のようにスタッフたちが動いている。「はい、出来ましたよ」と鏡を見せられた時には、ヘアメイクをされ、ウェディングドレスを着た自分が映っていた。
「似合う」
声がする方を見るとヘアセットされ、タキシードを着た楓が立っていた。私はもう涙が止まらなかった。
『何これぇ……ズルイよぉ……もう〜…せっかくのメイクがぐちゃぐちゃになっちゃうよぉ〜……』
「いつも誰かに見られてるから…2人で結婚式やりたかった」
楓がこんなことをする、というかできることを全く想像していなかったため、私は驚きと感動で軽くパニックだった。楓は私の手を取り、優しく握った。
「名前、すげぇキレイ」
そう言って目尻を下げる楓を見ると、あの日を思い出した。
──私、必ずアメリカに戻ってくる。だからそれまで待っていて
…分かった──
あの約束が果たせる日が、とうとう来るんだ。
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