(後編)
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あれから3年が経った。
楓との遠距離恋愛は想像以上に大変で、特に別れの時は辛かった。毎回空港のラウンジでめそめそ泣いてしまう私を、楓はそっと抱き締めてくれた。
楓を乗せてアメリカに行ってしまう飛行機は、灰色の鉄のカタマリにしか見えなかった。
こんなことを繰り返すのが辛くて何度も挫けそうになったが、それを忘れてしまうくらい再び会えた時の喜びは大きかった。どうしても恋しい時は、会う度に楓が買ってくるあのチョコレートと一緒に眠った。
同時に私は、必死に仕事と英語の勉強に励んだ。そしてついに希望が通り、アメリカ支社への異動を勝ち取った。
今日、楓が私を迎えに来る。
お互いの親への挨拶と婚姻届を提出するのだ。
もう何ヶ月も前から〝今日〟を待っていた。あと何日、あと何日と子どもみたいに指を折って数えた。
私は今、空港に来ている。楽しみすぎて早く着いてしまい、黙って座っていることもできず展望デッキに向かった。たくさんの飛行機が行き交うのをしばらく見ていると、空から一台の飛行機が降りてきた。
アメリカの国旗…楓が乗っている飛行機だと分かると、何だか妙に愛おしく思えた。いつも鉄のカタマリにしか見えないのに、今日はピンク色に見えた気がした。
到着口で待っていると、全く変装をしていない楓が人に紛れて出てきた。出会った時に比べて大人になったし、色気も増した。いつもこの瞬間は見惚れてしまうが、特に今日はいつも以上にかっこ良く見えた。
軽く手を上げてひらひらと振ると、すぐに気付きこっちに来てくれた。楓は嬉しそうに微笑み、私の頭を撫でた。この3年間で随分と表情も豊かになったものだ。
毎度のことだが、周りにいる楓を知る人たちの視線が痛い。でも今日はスペシャルな日だから、そんなの気にならなかった。
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