Because of Summer
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
彼女の名前は名前。
ビールを楽しみに来てみると、合コン状態だったことに戸惑っているらしい。岸本も同じだと伝えるとそこから打ち解け、すっかり話が弾んでいた。
『アハハハハ!岸本くん、オモロすぎ!ホンマ最高やわ』
「この笑いが分かる名前ちゃんも、なかなかのモンやで」
笑いが絶えない中、お開きの時間がきてしまった。岸本はもう名前をいやらしい目でしか見ていない。
「名前ちゃん…もうちょい二人で話さへん?」
その雰囲気から何となくホテルに誘われていることが名前には分かった。
『…ええよ』
二人は足早にその場を抜け出し、ホテル街へと向かった。
『んんっ…ハァッ……あぁぁっ……』
「……っ……出るっ…」
一通り事を済ませ、二人はぐったりと心地良い余韻に浸る。さっき飲んだビールのせいなのか、お互い大量の汗で身体もシーツもベタベタだった。
「飲み過ぎると勃たない」なんて誰かが言っていたような気がするが今の自分の状態から、それは迷信なのか、それとも飲み過ぎていないだけなのか…岸本は少し戸惑っていた。
『わ、岸本くん…まだめっちゃ元気やん』
面白そうに名前は微笑み、徐にソレを口に含んだ。
「えっ…ちょ……っっ…名前ちゃ…まだ風呂入ってへんって」
『んむぅ…ゴムの味……』
小さな部屋にジュルジュルと卑猥な音が響く。岸本は、されるがまま快楽に身を委ねる。名前は反応を楽しむように岸本の顔を見上げながら、強弱をつけては上下に動いた。
「くっ……アカン…もう…」
『ええよ。このまま』
岸本の吐息が大きく溢れると、名前の口内にドクドクと熱い物が放出された。
「わぁぁぁ…何で口離さへんねん!ティッシュ、ティッシュ!」
岸本は慌ててティッシュを5枚程取り、名前の口元に差し出した。
ドロリとした粘液がティッシュに吐き出される。
「不味いやろ、そんなん」
『…何やろ……蜂蜜みたいな味がする』
少し申し訳無さそうな、恥ずかしそうな名前の表情と声が岸本の目と耳に焼きついた。
蜂蜜の味なんてする訳がない。それでもそんな可愛いらしい言葉で返答する名前の優しさに、岸本の胸の鼓動は速まった。
連絡先は交換しなかった。お互い、今夜だけと割り切っていたからだ。
『それじゃ』と最後に名前が言葉を発した時、岸本は無意識に口元を見ていた。
季節が秋に近付いても、岸本は名前のことを思い出していた。
今までも一夜限りというのは経験があるが、こんなにも彼女に未練があるのは〝夏で気持ちが浮ついていたから〟ということにして誤魔化していた。一夏の恋とはよく言ったものだ。
ワイングラスを持つ細い指
自分を求める切ない表情
見上げながら、蜂蜜みたいな味がすると言った口
特別なようで、どこか冷静なこの得体の知れない気持ちは、暑い夏には丁度良かったのかもしれない。
それでも、季節は巡る。
(…どうしてくれんねん)
この気持ちをどう捉えるべきか…。
冬になったら、誰か温めてくれるのだろうか。
おわり
あとがき→