Because of Summer
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「岸本、ビアガーデン行かへん?」
大学の友人がバイト先で割引券を貰ったらしく、岸本を含め何人か誘っている。
「おー!行く行く!ジョッキで生ビール、最高やな!」
「ほな、このチケット持って18時現地集合な。予約しとくで」
夏しか楽しめないあの独特な雰囲気、飲んでも飲んでも汗になって出て行ってしまうようなあの感覚が岸本は好きだった。
「岸本〜!こっちやで!」
友人が呼ぶ方を見ると知った顔以外に女の子が数名、同じテーブルに座っていた。
「たまたまバイト先の子のグループも来とって、せっかくやから交流しよかってことになってん」
それはもはや合コン状態だった。同じ年頃の男女が楽しそうに会話とビールを楽しんでいる。岸本はもっとオシャレをするんだったと思ったが、今日はビールを目的に来たということで欲を抑えた。
空いている席は一つしかない。隣りには静かにビールを飲む女の子が座っていた。ワイングラスには赤い色の付いた果実ビールが注がれており、細い指でグラスを持つ姿は絵画のように美しかった。
岸本の視線に気付いたのか、彼女はグラスを持ったままにっこりと微笑んだ。
『席、ここしかないですよね?どうぞ』
「あ、すんません。失礼します」
声すらも透き通っていて美しい。普段の合コンではガンガン攻める岸本が、今日は少したじろぐというおかしな光景がそこにあった。
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