コイセヨオトメ
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
部活が終わり、下校する。柚は幼なじみでもある神と一緒に帰るのがお決まりだった。
「今日、監督と牧さんに褒められてたね。凄いじゃん」
『いえ、そんな大したことではないです。次は湘北の1年生について調査しなければならないんです』
小さい頃からずっと一緒にいるのに、ある時から何故か敬語で話すようになった柚に神は歯痒さを抱いている。
「富ヶ丘中の流川だよね?確か去年の県大会の映像がうちにあったような…」
『本当ですか?見せて頂けませんでしょうか』
間髪入れず、柚は神の言葉に喰いついた。今日は土曜日ということもあり、このまま神の家で試合映像を見ることになった。
久しぶりに来た神の部屋はあの頃とは違い、すっかり男子高校生の部屋になっていて、その雰囲気に柚は少し緊張していた。
神は早速、県大会の映像をテレビに映し出す。
「この人だよ。富ヶ丘中の4番、流川楓」
流川のプレイを見た柚は、その速く、しなやかな動きに圧倒された。今まで色々な選手のデータを集めてきたが、これ程の選手がいただろうか。
『こんな凄い選手がいたなんて…それに名前の響きも、御顔立ちまで綺麗…』
この言葉を聞いた途端、神はテレビの電源を落とした。突然のことに柚は驚いた。
『あの…宗一郎さん…?』
「見たくない」
『えっ…?』
「…柚がそんな顔で他の男を見つめてる所、見たくないよ」
そこにいるのは幼なじみではなく、一人の男の顔をした神だった。神は柚の両肩を掴み、真正面から見つめた。
「見ててよ、俺だけ」
この言葉に柚の胸の鼓動はバクバクと一気に高鳴った。
『で、でも…キャプテンにデータを集めるよう言われてますし…』
「……どうして敬語なの?前はもっと普通に話してたよね?」
ああ、ダメだ…私はもう逃げられない……そう思った柚は、神の胸元を見ながら口を開いた。
『宗一郎さんを見ていると胸がギュッと締め付けられるような、喉から何かが込み上げてくるような…そういう気持ちになるんです。どういうことなのか分からず怖くて…普通に話せなくなってしまいました…』
話し終えた後、チラリと神を見上げると安心したような表情をしていた。
「嫌われてたんじゃ無かったんだ。むしろそれ、好きってこと…だよね?」
『えっ…いや…あのっ…』
神が言葉にしたことで初めて気が付いた。
自分が恋をしているということに。
そんな柚の心情を察知したのか、神はクスリと微笑んだ。
「バスケデータの扱いは得意なのに、自分のことは全然ダメじゃん」
『…そうなの…かも…』
「あ、普通に喋れたね」
ついさっきまで胸を締め付けられていた感情がほどけるように、柚の目にはしっかりと神が映っている。
ただの幼なじみではないとは分かっていたが、その理由がやっと解明された。
神の長い睫毛が、ぱちぱちと繰り返されるまばたきの度に揺れている。
まばたきを3回数えたら、言えるだろうか。
スキ、キライ、スキ…
あなたが好きだと。
おわり
(柚さまリクエスト作品)
あとがき→