Mountain or Village
NAME CHANGE
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「名前、おるかぁ〜」
珍しく私のクラスにやってきた実理は、人生のほとんどを幼なじみとして過ごしてきた中でも見たことがない程、ドヤ顔だった。
『珍しいやん、実理が来るなんて。その顔…何かオモロイことあったんやな?』
「さすが名前先生。ようお分かりで」
一応乗っかってみてはいるものの、こういう時の実理はだいだいスベる。
「俺はな、気付いてしまったんや」
『何?勿体振らんと、早よ言ってや』
「それはな…」
『それは…?』
「土屋はきのこに、南はたけのこに、そしてお互いの関係さえも似ている!!!!」
実理のデカい声に、教室が静まり返る。
『…はい、スベった〜』
「ちょ!!ちゃうって!ホンマに!最後まで聞いてや!!」
『えぇ〜…おもんなかったら、購買の菓子パン奢ってもらうで』
「分かった。約束する」
実理のタラコ唇がニヤリと引き上がる。
続けて実理の熱く長い説明が始まったが、どうも頭に入ってこない。
『ちょ、待ってな。書き出してみよ』
私はルーズリーフにテキトーに線を引き、実理の言い分をズラズラと書き出していった。
きのこ(土屋)
・フォルム:丸みがあって可愛らしい
・チョコレート:ミルクたっぷり甘め
・生地部分:塩気のあるサクサククラッカー
・特徴:チョコとクラッカーの絶妙なバランス
・フレーズ:飽きないおいしさ
「土屋は愛想ええけど、ちょっとドライな所もあるやろ。そのバランスが絶妙やねん。時々ドライオンリーになることもあるしな」
『ドライオンリーの淳は結構エグいよな』
たけのこ(南)
・フォルム:ツンと尖ったおすましさん
・チョコレート:カカオ多め甘さ控えめ
・生地部分:しっとりバタークッキー
・特徴:完成された一体感
・フレーズ:くせになるおいしさ
「南は一見ツンとして取っ付きにくそうで、表向き甘さなんてほとんどない。でも実は中にしっとりふんわりな優しさを隠してんねん。もう南という人間は完成されとって、これからもそれはブレへん」
『…確かに烈はむっつりスケベやもんな』
「そしてな、きのことたけのこは生まれた時からのライバルで、チョコスナック界のトップを走り続けてんねん。
ほんでアイツらは大阪の1位、2位を争うバスケ部のキャプテン!!どうや!!」
ガタッ…(椅子から立ち上がる音)
『み、実理…!アンタがスベらん日が来るなんて…アタシ、歴史的瞬間に遭遇してもーた!!』
ドヤ顔MAXの実理が今日は誇らしく思えて感動していると、後ろから思い切りスコーン!と頭を叩かれた。
『いってぇぇ…げっ…むっつりたけのこ!』
「誰がむっつりたけのこじゃ!お前ら、俺がこのクラスやってこと忘れたんか。全部聞こえてたっちゅーねん」
しまった…久々の実理ヒットに感動して、烈のこと忘れとった…
「チクったろ」
ニヤリと笑った烈は携帯を取り出し、ぽちぽちとメールを打ち始めた。宛先は100%、淳だ。
「ひぃぃぃ…ベキッと折った鋭利なクラッカーで刺されてまう…!!」
『実理、もう諦めよう…アツシ100%やもん。スーパードライ淳、発動やでコレは』
烈がメールを送るとすぐに「ピヨ♪」 と可愛い着信音が鳴った。
内容を確認した烈は、つまらなそうな顔で携帯の画面を私と実理に向ける。
「岸本は僕らのこと、よう分かってるなぁ。
照れくさいけど、やっぱ幼なじみってええな♪
夏の予選、たけのこチームには負けへんで!」
『…きのこチームは器がちゃうな』
「俺、きのこチームに寝返ろかな…」
その後しばらくの間、烈は拗ねていた。
やっぱりむっつりスケベだと思った。
(実理、見て!きのこの方が内容量多いで!)
(やはり器の違い…あ!南おったんか…)
(つ、烈!言うても私は、たけのこ派やで!)
(…お菓子の方やろが)
おわり
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