幻よ醒めないで
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
音楽室に近づくと、ピアノに合わせた歌声が聞こえる。
『風のような歌
届けたいよ
野生の残り火抱いて
素足で走れば
柔らかい日々が
波の音に染まる
幻よ醒めないで』※
そっとドアを開けると、小柄な女性がいた。
彼女は驚いたのか、ピアノを弾く手が止まってしまった。
化粧をしているから?
キッチリした服装だから?
髪をまとめているから?
違う様に見えるけど、それは確かに海辺の家でピアノを弾くあの子だと分かった。
「あの…その曲…」
『君、ここの生徒だったんだね。私、今日からここの音楽担当教師なんだ』
自分と同じくらいの年頃だと思っていたのに、話すと大人なんだと思った。歌声とはまた違う、独特の声がより大人びて魅せた。
「神宗一郎っていいます。毎朝、この曲で元気を貰ってました」
『草野 名前です。神くんは、この曲を弾くと私の前に現れるんだね。不思議~』
彼女は、初めて見た朝と同じように柔らかく微笑んだ。
あぁ良かった。
「僕、この曲の最後の歌詞が好きです」
渚は二人の夢を混ぜ合わせる
揺れながら輝いて※
…幻じゃなかったんだ。
※スピッツ「渚」より
おまけ→