Finestrino
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『烈は、あの頃の私をどんな風に見てた?』
「…(…どういう意味や)」
もしかしたら自分の初恋がバレていたのだろうか。今更どうしてそんなことを聞くのか、と南は少し焦った。
少し高台にある公園に着いた。
慣れたようにバックで車を停める名前の仕草が、妙にいやらしく感じた。
車から降り、背伸びをした後、名前は話を続けた。
『しっかり者で頼りになるって思っとった?』
「まぁ、そうやな。近所でも皆そう言うてたな」
『こんな人がお嫁さんやったら、安心やなって思っとった?』
「…そうやな」
初恋を思い出した途端、自分は面と向かってフラれるのだろうか、と南は思った。
フラれるも何も名前はとっくに結婚しているし、いまさら何故?と、考えをぐるぐる巡らせていると、名前が口を開いた。
『私なぁ…旦那に告白された時、しっかりしてる所が好きやって言われてん。ほんで結婚してからは、しっかりし過ぎてイヤやって言われるようになったわ』
南は黙って名前の話を聞いた。
『旦那に負担をかけんよう、自分でやれることはなるべくやってきてん。そしたら、俺の存在価値が無くなるとか、1人でいる方がええんちゃうって旦那の親にも言われるようになって……耐えられなくて飛び出して来てん』
「…そうやったんか」
『烈があまりにも大人になっとったから、つい話してしまったけど、高校生にする話ちゃうかったな。ごめん…なぁ……っ…』
涙を見た途端、南は名前の腕を引き、強く抱きしめた。
「…しっかりしてるからやなくて、友だち思いで優しくて、いつも笑っとる〝名前ちゃん〟が俺は好きやった。だから、泣かんといてや」
一瞬ではあるが、名前はときめいてしまった。
自分より10歳も若い、しかもまだ高校生の男の子に。
『…ガキなのは、私の方やわ』
と呟いて、今日だけはこの可愛げのない、すっかり男らしくなった胸に身を委ねてみようと名前は目を閉じた。
もっと早く、気付きたかった。
こんなにも安らげる場所があったなんて。
おわり
あとがき→