今月のお題「校内の風景」

私が所属する写真部は毎月テーマを決めて写真を撮り、数ヶ月に一度のペースで展示会を開くのが主な活動だ。そろそろ今月のお題作品の締切が近付く中、私は被写体を探すために放課後、今日も校庭をウロウロしていた。よくある構造のこの学校で写真として残す価値のある物は何だろう…そう思いながら視界は足下ばかりに向いていた。

あー、もうだめだ…どれもピンとこない…。

とうとう煮詰まってしまい、背伸びをすると自然と空を見上げる体勢になった。

雲や鳥が自由に泳いでいる。私もあんな風にどこにでも行けたら良いのに…。

そんなことを考えながら視界を校舎に移すと、屋上に人影を見つけた。逆光でよく見えなかったが、何やら遠くを見つめて黄昏ている…？

試しにカメラを向けてみるが全然ピントが合わず、男なのか女なのか、生徒なのか先生なのかもよく分からなかった。けれど、それが逆に味わい深くて良い。

ようやく見つけた…！

何度かシャッターを押し、撮った物を確認している間その人はいなくなっていた。

誰か分からないけれど、ありがとうございました。

心の中でお礼を言いながら、私は部室に戻った。



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