空耳ラブコール


自習の時間なんて漫画の世界だけかと思っていたが、私は今その渦中にいる。周りを見渡しても本当に自習をしてる人なんて……そこそこいる。

受験生だからこそ、この時間を安息の時間にしてはどうなの?そんなに頑張ったら身体が持たないよ…?

なんて声に出そうもんならきっと白い目で見られるだろう。そう思った私は勉強している風を装い、ノートにラクガキを始めた。


この前、皆で行ったカフェのパンケーキ美味しかったなぁ。ふわっふわでメープルシロップがたっぷりで…。

そういえばあのお店、カヌレも美味しいって聞いてまた来ようねなんて言ってたけど、今は受験で誘える雰囲気じゃないよね。

あー…テーブルもカップもフォークも全部可愛かったなぁ。確かこんな感じだったよねぇ…。あれ…?私って意外と絵心あるんじゃ…?

なんて、自分で書いた絵を見ていたらお腹が空いてきてしまった。

こっそりなら良いよね…?

鞄から最近ハマっているグミを取り出し、周りを確認しながら一粒口に入れようと口を開けたその時だった。

バチンッと音でも鳴ったのではないかと錯覚するくらい、前の方の席に座る藤真くんと目が合ってしまった。

み、見られた…!




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