よくある高校生活
ふと視線を落とすと三年間密かに想いを寄せていた子が見えた。友だちと別れを惜しんでいるようで、涙を流している。その泣き顔に胸の奥をガッツリと鷲掴まれ、そんな顔をさせる奴に嫉妬してしまいそうになる。
笑った顔が可愛いと思った。
体育の時髪を結ぶ姿がエロいと思った。
でも鈍臭いところもあって愛おしかった。
二人で日直になった時、心の中で特大ガッツポーズをした。
意外と大雑把でもっと好きになった。
込み上げてくる想いが俺の脚を走らせる。すると急に空が一面〝そらいろ〟になり、〝ももいろ〟の花びらが流れるように降ってきた。何が高校生活を表しているようだ、やねん。ホンマ笑かすわ。
少し遠くから呼び止めると彼女はこちらを振り返る。髪と胸元のリボンが同じ方向に揺れて綺麗だ。
軽く深呼吸しようと目線を落とすと上履きのまま外に飛び出してきていることに気付く。
さぶいことをしてるのは百も承知。しかし、これもまたよくある高校生活ってやつなのだ。
「話したいことあんねんけど、ちょっとええか」
彼女の頬が〝ももいろ〟になる。
青い春はまだ終われない。
おわり
南くん、卒業おめでとう!