ホワイトデーは君と猫を。
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『何してんの、楓くん』
「…っ…!…気付いてたの…?」
『視線で分かったよ。ホント猫みたいだよねぇ』
クスクスと微笑む名前に込み上げてくるものがあり、流川は視線を逸らす。そこでふと自分がここに来た本来の目的を思い出した。
流川は手に持った小さな袋を彼女の前に差し出す。
「これ、あげる」
『え、何?』
「ホワイトデー」
『へ…?うあ!猫の形だ!』
流川が買ってきたのは猫の形をした食パンだった。最近出来たパン屋さんで売っているもので、名前にあげるならコレだと思い、昼食のラーメンを残して買いに走ったのだった。
嬉しそうな名前を見て、流川の表情も緩む。
『でも良いの?私バレンタインあげて無いのに…』
「…お返しじゃなくて、それは俺の気持ちだから」
『…気持ち?私感謝されることなんて何も…』
「そっちじゃない」
『え…?』
「好きってこと」
『…っ…!!』
「俺の彼女になって」
真剣にでもどこか懇願するような流川の目を見て名前は言う。
『…ホント、猫みたい。そんな目で言われたら弱いって分かってるんでしょ…』
「…どーかな」
『さっきのはもしかして嫉妬…?』
「……どーかな」
『ただの同級生なんだけどなぁ』
その言葉に流川は胸を撫で下ろすと同時に名前の手のひらで転がされているような気がしてなんだか悔しかった。
『コレ、一緒に食べようよ』
ニコニコと笑顔を向けられると胸の奥がキュッと締め付けられる。
(どっちかっつーと、猫みたいなのは名前の方だけどな…)
そう思いながら流川は黙って名前の隣りに座った。
その後二人は流川が買ってきた食パンを食べている所を誰かに目撃され、流川に彼女がいるという噂はあっという間に広がったという。
しかし周りがおとなしくなるかといえばそれはまた別のお話なのである。
ホワイトデーは君と猫を。
おわり
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