届けてくれませんか…?
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『安田くん、色んな人にチョコ渡すの頼まれてるみたいだね』
彼女は俺が持っている紙袋を指差しながらそう言った。
「そうなんだ。ホント参ったよ。何で俺ばっかり…」
『安田くんなら頼みやすいんじゃないかな。話しやすいし、優しいもん』
「そ、そうかなぁ」
『だから…私もお願いして良いかなぁ…』
彼女はもじもじと恥ずかしそうに可愛らしくラッピングされた小さな箱を俺の前に差し出した。
無理だ…。
いくら好きな女の子の頼みでも…いや、好きな女の子だからこそ……出来ないよ…。せめて俺じゃない人に頼んで欲しかったなぁ…。
俺は言葉を詰まらせていた。すると彼女の顔がみるみる赤くなっていき、小さな声でこう言った。
『こ、これを…安田靖晴くんに届けてくれませんか…?』
「えっ?!お、俺?!」
状況が全く整理出来ない中、目の前の彼女が恥ずかしそうに、でもどこか嬉しそうに微笑む姿があまりにも可愛くてどうにかなってしまいそうだった。
そして半ば強制的に箱を手渡されると、彼女はそのまま走り出した。
「あ、あの…!これ…!」
やっとの思いで出た声が廊下を渡るように響いていく。
彼女は立ち止まって振り向くと、今度は大きな声で言った。
『それ、本命だからね…!』
そして再び彼女は走り出した。耳が真っ赤になっているのが見え、きっと俺も今同じなんだろうなと思った。
俺は彼女を追いかけた。
さっきまでの自分が嘘かのように足が軽い。まるで吸い込まれるかのように。
「待って…!俺も名字さんのこと……!」
前言撤回。
まだ今日が終わらないで欲しい。
おわり
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