二月三日の確信犯
それからまず一緒にご飯を食べ、お風呂に入り、テレビを見ながらまったりと過ごした。ふとローカルニュースが始まり、保育園で豆まきが行われたという微笑ましい映像を見て私たちは本来の目的を思い出した。
『ねぇ、豆まきするんじゃなかったっけ?!うわもう23時じゃん!節分終わっちゃうよ!』
「そーやったねぇ。ついまったりしてもーたわ」
『だね。で、豆は?』
キッチンや戸棚を見てもそれらしき物は見当たらなかった。
『ねぇ、どこにあるの?』
そう言って振り返ると、淳が高い所に手をついて私に覆いかぶさるような体制になっていた。思ったよりも近くにいてついドキッとしてしまう。するといきなり淳が背中側から抱きついてきたのだ。ここで何となく淳の思惑を察する。
『…豆無いんでしょ』
「そうやねん。よう分かったねぇ」
甘く囁きながら首筋に淳の唇がほんの少しだけ触れる。
「大丈夫。代わりに歳の数だけちゅーしたるよぉ」
何が大丈夫なのかよく分からないが、豆まきを口実にこうしたかったのはよく分かった。キスはゆっくりと首から鎖骨の方に落ちていく。ちゃんと数えてはいないがもうとっくに30は超えているだろう。
『…歳の数だけなんでしょ?何歳だと思ってんの?』
「ん〜…やっぱり歳の数じゃ足りひんかも」
そう言って顎に指が添えられると顔の向きを変えられ、唇同士が触れた。今度は表面だけじゃなく深い所にも触れる。唾液が混じり合う水音と合間に漏れる吐息が静かな夜に彩をさす。
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