お母さんが風邪を引いた日
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「おかあさん、ごはんできたで」
「おれたち作った!」
「たまご!!」
子どもたちが布団を囲むようにして名前に話しかける。しかし南の姿を見た途端、布団に潜り込んでしまった。
「おかあさん?たべへんの?しんどい?」
長男が心配そうに言うと、名前はそのまま声を出す。
『大丈夫やで。でもお父ちゃんが寝てろ言うたから起きたら怒られるやろ〜』
「アホ。何拗ねてんねん。飯食わんと良うならへんやろ」
そう言って南が布団を剥がすと、何故か名前はニヤけていた。
『お父ちゃんがあーんしてくれたら食べられるかもしれへん』
「はぁ?!何を言うてんねん…」
予想外の言葉に南はつい照れてしまう。しかし普段の母からは想像も出来なかったのか、子どもたちは心配そうに南を見上げる。
「おとうちゃん、たべさせたって?」
「おかあさんしんどいゆーてるやん」
「ごはん!!」
何だか断り辛い雰囲気になり、南は小さくため息を吐いてスプーンを名前の口元に差し出した。
「ほれ」
恥ずかしさを隠すためか小さく無愛想に南は言った。その様子を楽しむようにニヤニヤしながら名前はスプーンを口に含んだ。
『ん〜!めっっっちゃ元気出たわ〜!』
母の笑顔を見ると安心したのか子どもたちはキャーキャー騒ぎ始めた。
「こら、静かにせえって」
しかし子どもたちは聞いていないようで走ったり跳ねたりしている。そして名前は南の肩を叩き、耳元で小さく言った。
『今度烈にも、あーんしたるよ』
「…アホ」
『今年もよろしゅうね、烈』
「ん」
南は優しく微笑んだ。その笑みにときめいてもう何年になるのだろう。
今年もその先もずっとこうしていられたら良い。名前はそう思い、こっそりと南の手に自分の手を重ねた。
南さんちの一年がまた始まる。
おわり
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