お母さんが風邪を引いた日
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(晩飯どないしよ…)
店を早めに閉めた南は冷蔵庫とにらめっこをしていた。そこに長男がやって来て南のシャツの裾を引っ張り言った。
「おかあさんのごはん、つくりたい」
三人の中で名前を一番気にしているのは、普段あまり自分の意見を言わない長男だった。よほど心配なのか不安そうに南を見上げている。そこに次男と長女もやってきて、途端にお祭り騒ぎになる。
「オレもやる!ハンバーグがいい!」
「ごはん!!」
「おかあさんの好きなものがええんちゃうかなぁ」
その後、オムライスやグラタンなどアイデアが飛び交うが南が作れる物は何一つ無かった。そもそも料理と呼べる物を作れない。どうしたものかと考えると、長男が言った。
「たまごごはんは?おかあさんたまご好きやん。めだまやきしよ」
「…まぁそれくらいなら何とか」
南の気持ちを知ってか知らずか長男から出たアイデアを実行することにした。
(焦げてきたけど、黄身はこれでええんか…?ひっくり返してみるか)
裏返した白身が焼け焦げた物から黄色い液体が染み出してきてどんどん火が通っていく。慌ててひっくり返すと一面黄色になっていて、目玉焼きとはとてもじゃないが呼べる物にはならなかった。
(俺って何も出来ひんやん…)
そんな密かに絶望する南の元に次男がやってきた。
「おとうちゃん、ごはんできた!」
そう言って差し出されたのは漫画に出てくるような山盛りのご飯だった。しかもちゃんと名前の茶碗によそってある。それを見た南は可笑しくて不恰好でも良いかという気になった。そして目玉焼きもどきをご飯の上に乗せ、醤油をかけ皆で名前の所に持って行った。
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