土屋くんの恋模様
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その後、何をどう言ったのかはあまりよく覚えていない。ただ、僕が何を言っても小山さんは興味無さそうに聞いている映像だけが残っている。
『…ランチくらいなら』
初めて聞いた小山さんの声はハスキーな感じだった。そして、愛想良く話しかけても全く靡かない反応ははなちゃんと入学したての頃に話したあの時の感覚を思い出す。
あれ…?もしかして僕は、自分に簡単に振り向いてくれない女の子なら誰でも良いのか…?
僕がはなちゃんを好きだと思っているこの気持ちは、恋ではないのか…?
そんな事を思いながら僕は小山さんと約束を取り付け、自分の席に戻った。
『ど、どうやった…?誘えた…?』
席に着く間もなく、はなちゃんは少し心配そうに言った。
「うん。ランチくらいならええって」
『……そか』
小さく消えそうな声だった。何と声を掛けて良いか分からないままチャイムが鳴り、講義が始まる。僕も、きっとはなちゃんも講義の内容は頭に入っていないだろう。
こんなに近くにいるのに、ただ近くにいるだけで良かったのに、はなちゃんにそんな顔をさせたく無かったのに…。
そして講義が終わり、チャイムは昼休みの始まりを告げる。そしていつものようにドアの方から岸本が顔を出し、こちらに手を振る。それを見たはなちゃんはやっぱりとびきり可愛い笑顔になり、鞄を持って立ち上がった。
一歩踏み出そうとしたその時、僕ははなちゃんの腕を掴んでいた。
『土屋くん…?』
腕は振り払われていない。
今、はなちゃんの瞳に映っているのは僕だけだ。
僕なら君を悲しませたりしないで
そう言えたら良いのに、やっぱり瞳の一番奥に映るのは僕じゃない。
大丈夫、笑顔を作るのは得意だから。
これが僕の恋模様。
続く