始まりの恋模様
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岸本くんに告白されたあの夜から一週間くらい経っただろうか。何度も思い出しては複雑な気持ちになってしまう。
気持ちに応えられなかったのに、岸本くんはバイトでこれまで通りに接してくれている。その優しさに胸が痛む。そしてもう一つは、彼が私の容姿ではなく中身を好きになってくれたことが嬉しかった。さらに極め付けは、好きな人がいることがバレバレだと言われたことだ。やはりランチの時の自分のリアクションはマズかったなと改めて後悔している。
ああ、また考え込んでしまった。そう気付いた時には講義はもうとっくに終わっていて、講義室には自分一人だけになっていた。こんなにも感情が忙しないのに、それを隠し通すことは出来るのだろうか…そう思いながら荷物を持って立とうとした時だった。出入口の所から土屋くんが現れたのだ。ばっちり目が合ってしまい、私は思わず声を出す。
『ど、どうしたの…?忘れ物…?』
「ん〜?まぁそんなトコやね」
土屋くんとは、あのランチの日から気まずくてまともに話をしていない。しかもよりによって周りに誰もいないこの状況は余計に追い詰められてしまう。
「何しとんの?もうとっくに講義終わっとるよ?」
気付いていないはずがないのに、それでもこうして普通に話しかけてくれるのはどんな心境なのだろう…。表情からは全く読み取れない。だからと言ってあのことに触れる勇気なんて当然なく、私は鞄に手をかけた。
『あー…うん。バイトまで時間潰してただけ』
「そうなんや。CDショップやんね?」
『…うん』
土屋くんの口から〝CD〟と出てきた途端、声のトーンなのか雰囲気なのかは分からないが、何となく嫌な予感がした。そして深く考える間もなく、次の言葉で一気に突き落とされてしまう。
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