あの日、本当は気付いていた。

小山さんが土屋を好きだということに。

はなから「好きな人はいるか？」という質問をされた時、ほんの一瞬だったが土屋の事を見ていた。あれはきっとあの場にいた全員が気付いていただろう。少し前まで心の中で特大ガッツポーズをしていた自分が恥ずかしかった。そして何よりその場の何とも言えない空気に耐えられず、あの日以降も全く気付いていないフリをして取り繕うのが虚しかった。


そんな中ではなから突然の告白…。ガキの頃からずっと一緒にいたが、本当に今の今まで気付かなかった。それはきっとはなも分かっていたと思う。それなのに、こんなにも真っ直ぐに気持ちを伝えられるのがかっこ良いと思った。そして誰かに好きと言われることがこんなにも嬉しいことなんだと知った。

しかも俺が小山さんに気持ちを伝えると言った時も、頑張れと言ってくれた。こんなにかっこ良い奴が幼なじみで、しかも俺を好きだなんて誇らしいとさえ思った。だからこそちゃんと伝えなければならない…。




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