夏の余韻
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蝉の声があまりにも鬱陶しく、情緒を感じる奴の気が知れない。そんな事を思いながら俺が脚を進めるのは予備校だ。
インターハイを終えて一旦バスケはストップし、今は高校三年生の夏ってやつを過ごしてみようと思う。まぁ、思ったよりも早く始まることになったのだが…。
予備校では毎回最後にその日の復習を兼ねた小テストがある。いつもは講師が答えを読み上げながら自己採点をするのに、今日は隣り同士で交換して採点することになった。俺の隣りはいつも一人でいる女子だ。女子は大概群れているから一人でいると何だか逆に目についてしまうため、何となく存在は認識していた。
講師の指示でプリントを渡すと彼女は少し戸惑ったようにしながらプリントを渡してきた。その理由は、彼女のプリントに講師を模した絵が描かれていたからだと分かった。何とも言えぬ緩いタッチで、講師の特徴を捉えていたその絵に思わず「似とる」と言いそうになってしまう。そこに加えて講師が答えを言い始めるものだからおかしくて、全然耳に入って来なかった。
チャイムが鳴り周りがプリントを返し始める。しっかり採点出来ていなかったが返さない訳にもいかず、プリントを差し出すと彼女は慌てて手に取った。
『ご、ごめんなさいっ…!変な物見せちゃって…』
「いやあの…よう特徴捉えとっておもろかったです。それより俺、ちゃんと採点出来んくて…こっちこそすんません…」
そう言うと彼女は嬉しそうに笑ってくれた。これをきっかけに俺と彼女は少しずつ話をするようになっていった。
彼女は名字 名前さんといって、この夏休み中、しかも受験生だというのに遠くから大阪に引っ越して来たらしい。だから知り合いがおらず、予備校でも一人でいたようだった。
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