南さんちの結婚記念日
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気付けばもう外は暗くなっていて、合間にスーパーに行くことも、宅急便を出しに行くことも出来ずに今に至る。二人は妙な達成感と虚無感が相入れる不思議な感覚を身に纏い、リビングのソファにぼんやりと座っている。
「なぁ…」 『つよ…』
二人同時に話しかけてしまい、お互いどうぞどうぞと某クラブのように譲り合う。
「今日、けっ…」 『せっかく結婚…』
またしても被ってしまい、何だか可笑しくてお互い笑い合った。その後、話をすると今日の結婚記念日にお互い何かしてくれようとしていたことが分かった。それが分かると急に照れくさくなり、少しだけ沈黙になってしまう。
そしてふと空気が動いたかと思うと、南の手が名前の手に重なった。
「楽させてやれへんし、こういう時にええもん買ってもやれんくて悪いな…」
『えっ…ちょ…何を言うてんの?私がそんなこと望んでると思う?別にそんな特別なことなんてせんでも、烈とおれるだけで十分幸せや』
名前がそう言うと、南はそのまま手を掴んで身体ごと自分の方に引き寄せた。そして耳元で静かに甘い声で囁く。
「…良かったわ。俺もおんなじやから」
二人の視線がぶつかり、微笑み合うと目を閉じて唇を重ねた。
嗚呼…これが一番の〝ええもん〟かもしれへんなぁ…。
またしてもお互い同じことを考えながら、二人の影はゆっくりと重なり、小さくなっていった。
南さんちは、結婚記念日もやっぱり愛に溢れているのであった。来年も、再来年も、ずっと、ずっと続いていく。
おわり
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