南さんちの結婚記念日
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これは、長男が生まれる少し前のお話。
月が変わってカレンダーをめくると、何の目印もつけていないのに目につく日にちがある。
そう、南と名前の結婚記念日だ。南家では婚姻届を提出した日がそれに当たる。
特に何かしようと擦り合わせている訳でもないが、何となくお祝いしたいなぁ…とお互いに思っている。しかし最近僅かではあるが客足が増えてきてあるため、店を休みにする訳にはいかなかった。そこで南は名前が好きな店のケーキを、名前は南が好きな晩御飯のおかずを用意することをこっそり計画していた。
そして、結婚記念日当日。
南は仕事終わりに宅急便を出しに行きがてらケーキを買うつもりであり、名前は合間を見て買い物に行きいつも通りご飯の支度をするつもりだった。しかしそんな二人の思惑とは裏腹に、不穏な言葉が南龍生堂に響く。
「申し訳ございませんっ!」
なんと業者が納品予定だった薬を持って来るのを忘れたのだ。業者はただ平謝りするだけだったが、謝られたところで店の在庫がショートしそうな事実は変わらない。
「昼間までに納品して貰えたらええんで、早よお願いします」
苛立ちを抑えながら南は冷静に対応する。業者はそれを感じ取ったのかバタバタと出て行った。そして業者と入れ替わるように一人のお客さんが入ってきた。
「どうも〜!お久しぶりやねぇ〜!」
南と名前はその人を見て一瞬固まる。久しぶりにやって来たその人はおしゃべり好きで、小一時間は一方的に話をしていくのだ。
何故よりによって今日なのか…。明日でも良いはずなのに…。
そんな二人の思いは一切関係なく、お客さんのマシンガントークがバシバシと撃ち込まれてくる。もはや何の話をしていたか分からないまま、ただ時間だけが過ぎて行ったのだった。
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