Rabbit-shaped Apple
NAME CHANGE
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この日から名前は堂々と深津ウォッチングするようになり、ついには挨拶するまでの仲になっていた。
『深津先輩、おはようございます!』
「おはようベシ」
こんな挨拶をするだけでも嬉しくて、名前はそれだけでもう生きていける気さえしていた。
放課後は毎日部活見学をする。今日から観覧席を修理することになっており、外への出入り口に立つことにした。
額から大粒の汗を流す深津の横顔にクラクラしそうになりながらも、その姿をしっかりと目に焼き付ける。
あぁ…やっぱりステキ……。
そして練習の合間の休憩時間になった。部員たちが水を飲む為にゾロゾロと体育館を出て行く。少し遅れて沢北が出て来て名前の横を通り、バッチリと目が合った。沢北は同じ学年で、自分以外は皆沢北を見に来ていることを名前は知っている。確かに綺麗な顔立ちだよなぁと思いながらペコッと会釈をすると、沢北の頬がみるみる赤く染まっていった。
「……っ……あのっ……!」
沢北が何か言いかけた時だった。
「その子はお前を見に来てるんじゃないベシ」
そう言って深津は沢北の肩に手を置いた。
「えっ!深津さん、こんな可愛い人と知り合いなんすか?!」
沢北の言葉に今度は名前の頬が赤く染まる。可愛いと言われたことにではなく、深津と知り合いと言われた方に照れたのだ。
「この子は俺の……ストーカー、ベシ」
「は?!」
驚く沢北はもう蚊帳の外で、深津は名前の方を見て、あの日のようにまた小さく微笑んだ。まるで全てを見透かしているかのように。
名前は何かしらの形で深津に関係を認められたことが嬉しくて何も言葉が出なかった。その様子を見て深津が声をかける。
「どうしたベシ?」
『に、二回目の春がきましたぁ…!』
名前の人生に訪れた二回目の春は、深津の公認ストーカーになったことだった。
この二人が結ばれるのはもう少し先のお話。
そして、深津の接尾語が後に〝ピョン〟になったのはあのうさぎの林檎からきていることを知るのは、まだ先のお話なのである。
おわり
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