Rabbit-shaped Apple
NAME CHANGE
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──これは二人の出会いのお話。
名前が深津を初めて認識したのは新入生への部活紹介の場面だった。
山王工業バスケ部が全国的に有名なのは嫌でもよく知っていて、部員全員坊主頭で何となく近寄り難いイメージを持っていた。しかし河田が新入生だが既に練習に参加している沢北を名指しし、「アイツはモテてるから調子乗ってる」と言い、いつものように沢北が言い返す、からのプロレス技の流れになりギャラリーがワーワー騒ぐ展開になったことで、そのイメージはすぐに覆された。そして何より、そんな中でも取り乱す訳でもなく、慣れたようにすまし顔の深津に興味を持ち、それからというもの名前は何となく深津を目で追うようになったのだった。
ある日の昼休み、名前のクラスに深津が現れた。どうやらバスケ部の一年生に用があってきたらしいが、教室にはいなかったようだ。そしてドアに一番近い席で弁当を食べていた名前に「申し訳ないが、コレを渡して欲しいベシ」とプリントを渡したのだ。
その瞬間、名前は大きな口でうさぎの形に切ってきた林檎を頬張ろうとしていたところで、深津と目が合って恥ずかしくて固まってしまった。それを見た深津は一瞬気の抜けたようになり、そして一言こう言ったのだ。
「可愛いベシ」
その時、深津は柔らかく微笑んだ。いつもは表情一つ変えないあの深津が、自分(の林檎)を見て微笑んだ…!
あんな顔するんだ…!
やばいやばいむりむりむり好き!!
…というのが名前の人生に訪れた初めての春だった。
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