有休の有意義な使い方
NAME CHANGE
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南は再び走り、名前の部屋の玄関の前に立っていた。乱れた前髪を直すだなんていつぶりだろうと思いながらインターホンを押す。
『南さん、本当にすみません。助かりました!くにちゃんも良い子にしてましたよ〜』
犬はさもこの家に住んでいるかのように名前の横に座って頭を撫でられている。その姿を見てイラッとしながらも、南は紙袋を差し出した。
「これ薬とか色々入ってるんで…」
『本当にありがとうございます。おいくらですか?』
「ええですよ。コイツが迷惑かけたんで…」
『そんなこと…』
「また買い物来てコイツと遊んでくれたらそれでええですから」
『…南さん、優し過ぎですよぉ』
風邪で弱っているからか名前はつい甘えたような声を出してしまった。一人で心細かったのかもしれないなと南は思った。
「ほら、ええ加減帰るで!」
南は犬にこっちに来るよう手を伸ばす。犬は南の方に近付いて来たかと思うと、南の手元から持って来た紙袋を奪い取り、名前の方に差し出した。
「…っ……お前なぁ…!」
『ふふっ…ありがとう。飲めば良いのね?』
南の言葉に被るように名前は言った。どうやら薬を飲むまで帰らないつもりらしい。
『あの…ここじゃ失礼なので良かったら上がって下さい。散らかってますけど…』
「え…」
南の戸惑う表情を見て名前は慌てて弁解をする。
『だ、誰にでもこんなこと言うわけじゃないですよ…?み、南さんだからっていうか…あの……』
頬を赤く染めながらそう言った後、少しだけ息を吐いて落ち着こうとしている。そして南の服の裾を少しだけ掴んだ。
『こ、心細いので……少しだけ一緒にいてくれませんか…?』
今日の名前は普段の華やかなメイクも、仕事用のビシッと決めた服も身に纏っていない。そんないつもより少しヨレヨレな彼女に南はときめいてしまった。
そしておもむろにポケットから携帯電話を取り出し、どこかに電話をし始めた。
「あ、もしもし、俺や」
そして少しボソボソと話していたかと思うと、最後にこう言って電話を切った。
「せやから、今日は有休や!!」
南は暫く振り向かなかったが、耳の先まで真っ赤になっているのを見て名前までつられて赤くなってしまう。
(こ、これは……)
二人の中に何かが芽生え始めている。
有意義な有休の使い方
この気持ちの行き着く先には──
おわり
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