有休の有意義な使い方
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何でもないある金曜日の朝、
南はいつもの時間に起き、歯を磨きながら朝のニュース番組を見ていた。企業に対し、社員が有給休暇を年間五日取得することが義務付けられるという内容が放送されている。
家族で町の薬局をやっている南にはあまり関係の無い話だった。一般企業のようにチャイムが鳴ったら仕事を始めるだとか、決まった時間で昼休憩をするだとかそういう事はまず無い。客足が引いたら昼食を食べられるし、都合に合わせて店を休みにする事も出来る。
しかし、去年一度だけ南も有休を取ったことがあった。それは岸本の結婚式に出席するためだった。平日の昼間からの式だったため母親に行くことを伝えると「アンタが休みたいやなんて珍しい!ええわ。おめでたい席やから有休にしたる!!」と、勝手に有休にされたからだ。うちに有休なんてあったのかと聞くと、上司っぽいことを言いたかっただけだと話していた。上司はそんなこと言わんやろう…と思いつつ、南は仕事を休んで結婚式に行ったのだった。
そんなことを思い出しながら歯磨きを済ませ、今日も開店準備を始める。朝は大抵お年寄りがやって来ていつも同じような話をして行く。
アンタも早よええ人見つけてお嫁さん貰わな!
ええ男なのに勿体ない…!
初めこそ嫌だったが、今となってはお年寄りに変わりが無さそうで何より…と思えるくらいにはなった。そしてテキトーに昼食を済ませ、再び客の話を受け流しつつ仕事をする。夕方近くになると客足は引いてくるため、今の内に在庫確認をしておこうと立ち上がった時だった。
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