二回目のファーストキス
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『今日、部活は?』
「今日は休みなんだ」
『な、なんかこうやって話すの久しぶりだよね…ハハ…』
紳一とこんな風に所謂世間話をするのに気を使う日が来るだなんて思ったことも無かった。いつの間にこんなにも距離が出来ていたのだろう。前はどんな事話してたっけ…。
ここで会話が途切れた。少しだけ沈黙が続く。
「今日、名前に会いに来たのは…」
ここで紳一が話し始めた。私は黙って聞くことにした。
「あの時、しただろう?」
『え?』
「キスだよ。その事を謝ろうと思ってな」
紳一は真剣な顔つきでそう言った。予想外の言葉に私は食い気味に反応してしまう。
『謝る…?え、待ってよ。そもそもキスのことを言い出したのは私だし…』
今だ…!今しかない…よね…?
『それに私もずっと聞きたかったの…。あの時、何でキスしたの…?』
言い終えると、風が吹き抜けて頬をくすぐる。それでも紳一の真剣な表情は変わらなかった。
「それは…俺が謝りたいことに繋がるな」
『どういうこと…?』
「…好きだった。子どもの頃からずっと。しかし想いを伝える前にあんなことになって…すまないと思っていた。だからあれは誰にでもするんじゃないぞ。名前だからしたんだ」
紳一の言葉に驚きはあったものの、それよりも何よりもこみ上げてきたのは……、
『…私、その言葉をずっと待ってたのかもしれない。すっっっごく嬉しい!』
そう言うと紳一は嬉しそうに笑った。そして小さく「ごめんな」と言うと、優しく私を抱きしめた。広い肩や厚い胸板に触れ、いつの間にかこんなにも男の人になっていたことにドキドキしてしまった。
『ね、紳一、お願いがあるの』
「何だ?」
『私、〝恋人とのキス〟は未経験なんだよね。どんなのか……知りたいな…』
自分が相当恥ずかしいことを言っているのは分かっている。けれど、恋人じゃないのにキスだけしてしまっている過去の私たちに何だか嫉妬心を感じてしまったのだ。
「…じゃあ、目を閉じてくれるか?」
紳一に言われた通りにすると、冷たいものが唇に触れ、そこがじわじわと熱を帯びていった。
あの時とはまた違った胸の鼓動が身体中に響く。そして唇が離れると、お互い目を合わせてはにかんだ。
「どうだった?恋人とのキスは」
『……思ってたよりずっと、幸せいっぱいかも…』
たぶんファーストキスを二度経験したカップルって早々いないんじゃないかな…。
こんなに幸せな気持ちになれるなんて、想像出来なかった。そして何より、また紳一と過ごせる日々が始まることに胸が高鳴った。
久しぶりに並んで帰る道は、何も変わってないのにね。
おわり
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