二回目のファーストキス
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高校生活にもだいぶ慣れてきた今日この頃、JKともなれば休み時間や放課後は恋の話題が尽きない。
「ねぇねぇ聞いて!昨日私、初めて彼氏とキスしちゃったんだぁ」
友だちの一人がそう言うと、あっという間にあたり一面黄色い花が咲きだす。そこからファーストキスの話題になり、いつ誰としたのかと皆が話している。
「名前は?どうなの?」
友だちの一人が私に振ってきた。正直ドキリとしたけれど、少しだけ心から楽しめていない時は割とバレずに嘘をつくことが出来てしまう。
『ううん。私はそういうの無縁だから』
***
あれは中学二年の夏休みが明けた時だった。クラスのませた子が夏休み中にキスを経験したと、風の噂で聞いた。それから何となくキスってどんな感じなのだろう…と漠然と考えてみたが当然答えなんて出るはずもない。
あの頃はまだ幼馴染みの紳一と一緒に学校から帰ることもあった。あの日もたまたま帰りが一緒になり、何となく並んで歩くいつも通りの光景であるはずだった。どうして私はあんなことを言ってしまったのか、今でもよく分からない。
『キスってさ…どんな感じかな…』
さすがの紳一も動揺したのだろう。歩くのを止めて立ち尽くしていた。その反応を見て私は急に恥ずかしくなり、紳一のシャツの裾を掴んだ。
『へ、変な事言っちゃってごめん…』
紳一の顔を見上げると咄嗟に目が合った。九月だというのに蝉の鳴く声が響く。
首に汗が伝う。
唾を飲み込む。
次の言葉は出て来ないのに、どうなるかは分かる。
そして紳一がゆっくりと近付いてきて、ほんの一瞬だけ唇が触れた。離れるとお互い真っ赤になりながら、結局何も話さずそのまま家に帰った。ただ、二人の距離はいつもより少し開いていた気がする。
これが私のファーストキスの思い出だ。
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