二回目のランチタイム


ふと目が合ったかと思うと、流川くんは立ち上がって私の方に近付いて来る。そして私の横まで来ると、目の前に何かを差し出した。


「先輩、コレこの間のお礼っす」


それは物凄〜く大きなおにぎりだった。どうやったらこんなに大きい球体を作ることが出来るのだろう。


『え…流川くんが作ったの?』

「そうっす。下手くそっすけど…」


流川くんはまた少し恥ずかしそうに目を逸らしていた。おにぎりを手に取ると流川くんの手の中にある時よりもずっと大きく見えて、まんまるで、不恰好で、愛おしかった。


『ありがとう。遠慮なく頂くね』


そう言うと流川くんはおもむろにおにぎりがたくさん入った袋を取り出し、私の隣りに座った。


「今日も一緒に食って良いすか?俺……先輩と飯食うの楽しいっす」


流川くんはそう言って優しく微笑んだ。

待って…ちょっと……今のはかなり……掴まれてしまった…かもしれない…。


この気持ちがどこに向かうかはまだ分からないけれど、確かな事はこのランチタイムは一人の時とはまた違った幸せがあるという事だ。


二回目のランチは、何かが始まる予感がした。


そう思いながら、私たちは大きなおにぎりを頬張った。




おわり


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