青さ残る、君と。
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異動や新人の入社などあり、四月は何かと良くも悪くも忙しない。長かったようであっという間な気がするこの月を終えると、待ちに待ったゴールデンウィークがやってくる。待ちに待っていたのは誰かと何かをする予定があるからではなく、単純に会社に行かずゆっくり休むことが出来るからだ。
一緒に過ごす恋人なんていない。何年か前に浮気をされてから、もう恋愛は良いかなと思い色々な誘いを断ってきた。友だちは皆結婚、出産をしていて気軽に会うことも出来なくなっていた。所謂、おひとりさまってやつなのである。
とは言え、何もせずただダラダラと過ごすのはやっぱり勿体ない。そうだ、前から気になっていた映画を観に行こうかな…。でも昼間は映画館も街も確実に混んでいるだろうし、いっそ最後の上映時間に合わせて行動しちゃおう…。
という私のゴールデンウィークの予定がようやく一つ出来たのは連休が始まる前日、会社の昼休み中のことだった。
そして当日
映画館のチケット売り場は人がまばらで、席を選ぶ時もガラガラだった。人が多い時はあまり後ろの方だとスクリーンが見え辛いこともあるが、今日は贅沢に一番後ろに座ってやろう。チケットに印字された座席番号が急に特別に思えて、劇場に進む足取りが軽かった。
まだ少し早いからかもしれないが、劇場にいるのは今のところ私だけだった。え、もしかしてこの大きなスクリーンを独り占め…?ウソ…最高じゃん…。と思ったのはほんの一瞬で、すぐに通路を挟んだ隣りに誰かが座ってしまった。待ってよ…こんなにも座席はあるのに何故わざわざ隣りの席…?もしかして変質者とか…?え、ヤダ…どうしよう…席移動しちゃおうかな…。と頭をフル回転していると隣りの人が声を掛けてきた。
「あれ、名字さん…ですよね…?」
私の事を知っている…?そう思い、恐る恐るそっちを見ると見知った顔があり一安心した。会社の後輩である三井くんだったのだ。
『三井くん、偶然だねぇ。こんな時間に一人?』
「はい。俺、映画観る時いつも最後の上映時間にこの席で観るんです。公開からもう時間経ってるし、今日は貸切かと思ったのにまさか名字さんがいるなんてなぁ〜」
嬉しそうにニカッと笑う顔はどこか少年っぽさが垣間見えて、これにメロメロになっている女子社員が多い事も知っている。じゃあ私はどうかと言うと、確かに彼の顔は良いし懐かれている事も自覚しているが、それはあくまで仕事の先輩として、であると一線引いてしまっている。だって三井くんと話すだけで視線が痛いんだもん…。
なんて考えている内に場内が暗くなり、映画が始まってしまった。まぁ良いや、今は映画に集中しよう。折角来たんだから、楽しまなきゃね…。
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