本命のホワイトデー
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彼女の名前と付き合ってから初めてのホワイトデーがもうすぐやって来る。
バレンタインには手作りのチョコレートケーキを貰った。プロになれるんじゃないかというくらいのクオリティで、何より俺の為に時間と労力を割いてくれたことが嬉しかった。だからホワイトデーのお返しは俺も相応の物を贈りたいと思っている。…が、そもそも彼女が出来たこと自体が初めてだし、自分の意思でお返しを用意することも初めてで、何をどう選んで良いのかさっぱり分からずにいた。
失敗したくない俺は一番正解を教えてくれそうな池上さんに相談してみることにした。
「百貨店とか洋菓子屋とか行けばホワイトデー向けの売ってるだろ?そこから彼女が好きそうなの選んだら良いんじゃないか?」
返ってきたのは、まさに正解という内容だった。でもそうじゃない。違う、そうじゃない訳じゃない。何と言うか、それだと彼女がかけた時間と労力に見合わない気がする。
そんな事を考え出してから数日経つが結局答えは出せずにいた俺は、授業の合間の休み時間に廊下に出て窓の外をぼんやりと眺めていた。
「越野じゃん。何してんの?」
声をかけてきたのは仙道だった。バスケをしていない時はいつものんびりしていて、遅刻常習犯だし、悩みなんてこれっぽっちも無さそうなコイツが羨ましい。何でこんな奴が女の子にモテるんだよ…ったく…。
ん…?モテる…?
「そうだ!そうだよ、仙道がいたじゃねーか!」
「…? いるよ?」
灯台下暗しとはまさにこの事だった。モテる奴は圧倒的に本命を貰った経験が多いし、何をお返ししたかも参考になるはずだ。
「頼む、仙道!助けてくれ!」
俺は仙道に事の経緯を説明し、ひと通り聞いた上で仙道が出した答えはこうだった。
「本命のお返しは手作りするんだぜ?」
「え゛っ…!そ、そうなのか?!」
自分には皆無の発想だった。でもそうだよな。俺の為に作ってくれたんだから、俺も名前のために作るのが筋だよな…?
よし、そうと決まればやるしかねぇだろ!
「サンキュー仙道!やっぱお前は頼りになるぜ!!」
「頑張れ〜」
仙道はいつもの軽い感じで自分のクラスへと戻って行った。その背中はいつもより輝いて見えた気がした。
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