週末の娯楽


それから彼と色んな話をした。お酒の話から食の好み、好きな映画、そしてお互い暫く恋愛をしていないこと。段々会話が進んでいくにつれ、私は今夜、彼に抱かれるのだろうと思っていた。こういう事が分かるようになる程、自分は良くも悪くも大人になったんだと間接的に気付かされる。

そして案の定、私と彼はお店を出てホテルに向かった。隣りに並んで歩くと、見上げなければ顔が見えないくらい大きな身体を私は受け入れられるのだろうか…なんて考えていた自分は愚かだった。

白くて綺麗な肌、引き締まった筋肉、グラスを持っていたあの大きな手、求めるような視線…それら全てで溶けるように優しく、甘く、激しく抱いてくれた。

その後、ホテルを出てから駅で別れる時も、「気を付けて」と一言残しただけで彼は私と反対のホームに向かって行った。身体に余韻を残したまま私もギリギリ終電に駆け乗る。


(す、凄かったな……)


これが所謂、〝身体の相性が良い〟ってやつなのだろうか。それとも彼が物凄く上手なのだろうか。また一つ大人になってしまった、そう思いながら電車の揺れに身を任せた。酔いはもうすっかり覚めていた。

シャンプーなのか、香水なのか、お酒の香りなのかは分からないけれど、彼の香りがまだする気がした。


また会えると良いな…。




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